徳島県小児科医会 日浦恭一
気管支喘息の発作に特徴的な呼吸音は「ヒューヒュー」や「ゼーゼー」ですが、このような呼吸音が聞こえた子どもがすべて喘息であるとは限りません。喘息の基本は慢性のアレルギー疾患です。アレルギー体質を持つ子どもが、くり返してこのような呼吸の異常を示す場合に喘息と診断します。
気管支喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎を3大アレルギー疾患と言います。両親や兄弟にこれらのアレルギー疾患がある場合には遺伝的にアレルギー体質を持つと考えられます。乳児期からの食物アレルギーやアトピー性皮膚炎も喘息発病の危険性が高く、注意が必要です。
アレルギー疾患やアレルギー体質のある乳幼児が特定の環境因子に置かれた場合に喘息が発病します。乳幼児の喘息の多くはウィルス感染をきっかけに発病します。季節の変わり目に多い鼻かぜの原因ウィルスであるライノウィルスは喘息の発病に関連があるウィルスとしてよく知られています。またRSウィルスは喘息とよく似た症状を示します。
さらに喘息発作は気温や湿度、気圧や天候にも影響されます。これから寒くなると冷たい乾いた空気を吸い込むことで発作が起こることもあります。このような喘息発作の誘因を知ることが発作の予防につながることもあります。
徳島新聞2009年12月16日掲載