徳島県小児科医会 日浦恭一
気管支喘息の治療目標は、患者さんの呼吸困難などの苦痛を取り除き、睡眠や運動などの日常生活が支障なしに行われることです。
治療を進める上で大切なのは発作の重症度を知ることです。軽い発作が1年に数回程度であれば症状がある時だけの治療で十分です。軽い発作でも回数が多く、治療を中止するとすぐに再発する場合には症状のない時期にも治療を継続します。重い発作は起これば生命に関わることがありますから、回数が少なくても発作のない時期に継続した治療を行う必要があります。
喘息発作の治療には気管支拡張剤が使用されます。内服薬、吸入薬、貼付薬、注射薬、などを症状の程度に合わせて使い分けます。
発作間歇期には気管支の慢性炎症を改善する薬剤として、吸入ステロイド剤やロイコトリエン拮抗剤と呼ばれる薬剤が使用されます。
薬物療法だけでなく、発作を予防する上でアレルギーの原因検索も大切です。ハウスダスト、ダニ、カビ、ペットなど様々なアレルゲンが喘息の原因となります。これらの原因アレルゲンを特定し、生活環境から除去することで発作の抑制を図ることができます。
喘息の治療は、薬剤治療にしてもアレルゲン除去などの環境整備にしても長期に及びますから、治療の必要性を十分に理解して臨むことが大切です。
徳島新聞2009年12月23日掲載