徳島県小児科医会 日浦恭一
子どもは何でも口に入れます。口に入れた異物が食道・胃・腸管に落ち込んだものが消化管異物です。
口に入れたものは結構大きなものでも飲み込むことができます。直径4cmくらいのものはのどを越すと言われます。硬貨の中で最も大きい500円玉でも直径26mmです。したがって硬貨ならどれでも簡単にのどを越して食道へ落ち込むのです。
消化管に落ち込んだ異物は、異物の種類と留まる場所によって処置の必要性や緊急性が異なります。
異物の種類について、ボタン型乾電池や鋭利な異物はできるだけ早く摘出しなくてはなりません。また大きくて臓器を圧迫するものは早く取り出す必要があります。
異物が食道に留まる場合には早期に取り除きます。食道の周辺には気管や心臓などがありますから、圧迫によって呼吸器や循環器症状が出る危険性があるからです。
異物が胃内にある場合には処置を急ぐ必要はありません。多くは排便とともに自然に出るからです。貨幣やボタン型乾電池は一箇所に留まると、通電して消化管穿孔の危険性が高くなりますから早期に摘出します。
徳島新聞2009年11月18日掲載