徳島県小児科医会 日浦恭一
頭部外傷の際にもっとも大切なことは受傷直後の意識状態です。受傷直後に重い意識障害があれば、生命の危険性や神経系に後遺症が残る可能性が高くなります。
乳幼児の意識状態を客観的に評価するのは難しいものです。重症の意識障害の判定を誤ることはありませんが、軽い意識障害では判断に迷う時があります。また意識障害は時とともに変化することがありますから、注意深く経過観察することが大切です。
意識障害の評価には、次の3段階に分けるのが一般的です。(1)刺激をしても覚醒しないもの、(2)刺激をすると覚醒するが刺激を止めると眠り込むもの、(3)刺激をしないでも覚醒しているが普通ではないものの3つです。
さらにそれぞれの段階を刺激の程度や反応の度合いによって細分して意識障害の程度を点数で評価します。
また開眼、言語反応、運動反応を組み合わせて評価する方法もあります。乳幼児では眼球運動や瞳孔反応の有無、自発呼吸の有無、姿勢や緊張状態などを組み合わせて意識障害の程度を判定します。
受傷直後の意識状態はとても重要ですが、意識状態は変化しますから経過を追って評価することが大切です。
徳島新聞2009年10月21日掲載