予防接種の実施方法には集団接種と個別接種があります。以前はすべて集団接種で行われていましたが、最近は一部の予防接種を除いて個別接種が原則となっています。
個別接種は子どもの健康状態や家族の都合に合わせて接種日時を決めることができます。また予防接種を受ける場所がかかりつけの病院であれば、子どもの健康状態やアレルギーなどの体質、これまでにかかった病気について多くの情報を持っていますから安心して予防接種を受けることができます。
集団接種では日時が決められていますから家族の都合や、子どもの健康状態が悪くてその日時に受けることができないこともあります。集団接種では初めての医師と患者の関係になりますから、個別接種以上にていねいな問診や診察、接種後の観察が求められます。
最近ではほとんどの予防接種が個別接種になってきました。しかし個別接種の最大の問題点は接種率の低さです。2歳未満に行われる定期予防接種ではほぼ期待通りの接種率を達成していますが、年齢が大きくなるにつれて接種率は低くなっています。
最近では麻疹・風疹ワクチン(MRワクチン)の2期(就学前)、3期(中学1年)、4期(高校3年)の接種率が極端に低く全国的に大問題になっています。
MRワクチンの2回接種を全員に行うことは2012年までに日本から麻疹を排除する計画に基づくものです。そのためにはワクチンの接種率を95%以上にする必要があるのです。平成20年9月末の数字では徳島県のMRワクチン接種率は3期が全国45位、4期が41位と低迷しています。
予防接種の個別化は個人の健康を重視する点では理想的なシステムですが、個人個人が予防接種の意義を十分理解していなければ社会全体の疾患を排除するという大きな目標を達成することはできません。
ある疾患を社会から排除するためには集団接種も有効であり、集団接種によって短期間に確実に接種率を上げることも考慮する必要があります。
県民の皆さまへ
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- カテゴリ: 小児科相談
2009年1月28日掲載