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 子どもが腹痛を詳しく正確に伝えることは難しいものです。しかし腹痛の発生機序を知っておくことはとても大切なことです。

 腹部臓器から発生する痛みは内臓痛と言われます。内臓痛には管腔臓器から発生するものと、実質臓器からの痛みに分けられます。

 管腔臓器(胃腸、胆道、すい管、尿管、膀胱、子宮など)から発生する痛みは、ぜん動運動などで平滑筋が収縮するときに発生する発作的な痛みです。 実質臓器(肝臓、脾臓、腎臓、すい臓、卵巣など)からの痛みは臓器が腫れてその皮膜が伸展するときに発生する持続的な痛みです。

 内臓痛は一般に鈍い痛みで限局性に乏しく主として上腹部や臍周囲、下腹部などの正中部に多く見られます。

 これに対して体性痛は、臓器の炎症が腹膜や腸間膜、横隔膜におよぶときに見られる痛みで、歩行などの体動時に痛みが増強されようになりますから、患者さんは痛みがもっとも少なくなるように、屈み込んだり、エビのように腰を曲げたりする姿勢をとります。このような体性痛は病変部位に一致して起こることが多く、限局的で、持続的な強い痛みです。

 体性痛を訴える場合には消化管穿孔や腸閉塞、急性腹膜炎をともなった虫垂炎などの急性腹症である可能性があります。

 急性腹症とは、激しい腹痛を訴えるものの中で、できるだけ早く、何らかの医学的な処置を開始する必要があるものです。

 急性腹症にはさまざまな疾患が含まれます。初期の判断が遅れると取り返しのつかない状態になることがありますから、できるだけ早く診断し、治療方針をたてる必要があります。急性腹症を思わせる激しい腹痛を訴える患者さんを診たときには緊急の検査ができて、常に外科医に相談できるような病院で治療に当たる必要があります。

2008年11月19日掲載

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