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 小児科を受診する理由の中で腹痛は大きな割合を占めています。しかし乳幼児は腹痛をことばで正確に伝えることができません。そのために診断や治療が遅れることがあってはなりません。今月は腹痛を訴える子どもの病気について考えてみました。

 腹痛の原因疾患はとても多いものです。中でも多いものは急性胃腸炎や便秘症ですが、胃十二指腸潰瘍や急性虫垂炎、腸重積症、消化管ヘルニア、消化管穿孔などの消化管の疾患も多く見られます。他に、肝臓・胆道系の疾患や腎臓・泌尿器疾患も腹痛の原因として大切なものです。腹部臓器以外の疾患でも、肺炎や溶血性尿毒症症候群、血管性紫斑病、てんかんなどの全身疾患で腹痛が見られることがあります。これらの腹痛を示す疾患の中には緊急手術などの外科的処置を必要とするものがありますから注意が必要です。

 子どもの腹痛の訴えは伝わりにくく、痛みの部位や性質、食事との関連、排便や排尿との関係などについて正確に聞き取ることは難しいものです。その場合には両親など保護者からの情報も大切です。

 腹痛の訴えが正確に伝わらない場合でも、腹痛が激しい場合には、ぐったりしているとか、激しく泣く、泣き止まない、嘔吐する、ミルクを飲まないなど症状が見られ、そこにはときとして緊急性の疾患が隠れていることがあります。

 激しい腹痛を訴える場合にはできるだけ早く診断して、治療を開始することが求められます。このような場合でも発熱の有無や血圧、脈拍、顔色など全身状態を把握しておくことが大切です。発熱のあるときには感染症が考えられ、顔色が蒼白で血圧の低下や脈拍が弱々しく多い場合にはショック状態にあることが疑われますから、全身状態を十分把握して、腹痛に対応する必要があります。

2008年11月12日掲載

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