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 突発性発疹症(突発疹)は乳児の熱性疾患でほとんどの乳児が2歳までにかかるとされます。しかし、かかった子どもが全員、典型的な突発疹を発病する訳ではありません。発熱だけや発疹だけの場合もあり、また発病せずに終わる場合もあると言われます。時には突発疹に2度かかることがあります。

 突発疹をウイルス学的にはっきり説明できるようになったのはごく最近です。突発疹の原因ウイルスはヒトヘルペスウイルス6型(HHV-6)とされます。このウイルスは1980年代にエイズの研究中に発見されたもので、1988年に日本人によって突発疹の原因であることが明らかにされました。その後、突発疹と同じような症状がヒトヘルペスウイルス7型(HHV-7)でも見られることが明らかになりました。

 HHV-6に比べるとHHV-7による突発疹は年齢的に遅れてかかること、さらに症状が軽くすむことも知られています。

 突発疹の伝染経路については確定的ではありません。発熱中の乳児の唾液からウイルスが分泌されると言われますが、突発疹の原因ウイルスは成人の体内に潜伏したウイルスが、母体免疫が低下した乳児に侵入して発病すると考えられています。そして発疹が出現する時にはウイルスの排出はなくなります。したがって乳幼児の間で感染して流行することはなく、感染予防のために解熱した後いつまでも隔離しておく必要はありません。また、突発疹の発生に季節性はなく、1年中同じような頻度で発生します。

 突発疹に対する特別な治療法はありません。発熱はウイルスを排除するための免疫反応と考えられますから、一般に解熱剤の使用には慎重でなければなりません。

 最初の高熱で突発疹を疑っても発疹が出るまで確定診断に至らないことで不安が増します。他の熱性疾患を除外しながら乳児の全身状態を把握し経過観察していくことが大切です。

2006年7月18日掲載

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