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 突発性発疹(ほっしん)症(突発疹)は乳児の発熱性疾患でめずらしいものではありません。生後はじめて出す熱の原因としてよく知られていますが、この疾患の原因がヘルペスウイルスの仲間であるということが明らかにされたのはそれほど古いことではありません。今月は突発疹について考えてみたいと思います。

 突発疹は乳児の母体免疫が減少する時期に発病する疾患です。したがって生後6カ月から1歳に発病のピークが見られ、わが国では2歳までにほとんどの乳児が感染を受けるとされます。

 主な症状は突然の高熱であり、軟便をともなう以外にはほとんど他の症状は見られません。高熱の割には比較的機嫌もよく、全身状態もそれほど悪化することはありません。高熱は約3日間持続すると自然に下がります。解熱とともに皮膚に発疹が出現して突発疹の診断がつきます。発疹は薄い紅斑で、体幹部を中心に出現し四肢や顔面にも広がることがありますが、3日くらいで消退します。

 突発疹は多くの場合に高熱と発疹だけで終わりますが、時に熱性けいれんをともなうことがあります。熱性けいれんの頻度は他の熱性疾患に比べて高率に発生すると言われます。また高熱のある時期に大泉門がふくれて神経系の合併症を疑われることもあります。

 突発疹は、生後初めて経験する発熱の原因となることが多く両親は大変不安になります。小児の救急疾患としても重要な疾患です。

 突発疹は自然に経過を見れば、3日間くらいで解熱し、自然に原因が明らかになり治癒する疾患ですから特別な治療は必要ありません。安静と水分や栄養補給をして経過を観察していればいいのです。

 突発疹の多くが急な発熱で発病し、それも初めての発熱である場合が多く、救急現場での初期対応が問題になります。この疾患を疑った場合には他の熱性疾患との鑑別をするとともに、いかに両親の発熱に対する不安を解消するかがポイントになります。

2006年7月11日掲載

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