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 この時期になると毎年決まってインフルエンザが流行します。インフルエンザは高熱をともないさまざまな合併症を持つことから幼い子どもたちにとって大変重要な病気です。

 インフルエンザの主な症状は高熱やのどの痛みをともなう咽頭(いんとう)炎によるものですが、その症状や程度は流行する年によって少しずつ異なります。高熱による熱性けいれんが多く見られる年もあれば、嘔吐(おうと)や下痢が多く見られる年もあります。昨年流行したB型インフルエンザの中には比較的低い熱で終わるものも見られました。

 同じインフルエンザであっても少しずつ症状が違うのはインフルエンザウイルスが毎年少しずつ変異しているからです。

 最近数年のインフルエンザはAソ連型、A香港型、B型が混合して流行しています。これらのウイルスも毎年まったく同じウイルスが流行しているわけではありません。毎年少しずつ変異しているのです。このような小さな変異は毎年起こっています。

 最近、話題の高病原性トリインフルエンザのように今まで見られなかった新しい型のウイルスの出現は数十年ごとに起こっています。20世紀には3回、大きな変異が起こりました。1981年のスペインかぜ、1957年のアジアかぜ、1968年の香港かぜがそれです。そろそろ大きな変化による新しいウイルスが出現すると言われています。その新しいウイルスの候補としてトリインフルエンザが考えられているのです。

 A型インフルエンザウイルスの表面には2種類の突起があります。赤血球凝集素HAとノイラミニダーゼNAです。HAはウイルスが体内に侵入するとき、NAは体内で増殖したウイルスが気道の細胞から飛び出すときに大切な働きをしています。自然界にはHAが15種類、NAが9種類存在していて人や鳥に広く分布しています。この組み合わせによってウイルスの型が決定します。A香港型はH3N2、Aソ連型はH1N1の組み合わせです。

 ウイルスの大きな変異は、HAとNAの組み合わせが変化することによって起こります。高病原性トリインフルエンザはH5NAの組み合わせで従来の人インフルエンザにはなかったもので、これが人に流行する力を獲得すれば大変なことになります。

2006年1月10日掲載

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