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 育児不安が増えていると言われます。仕事を持っている女性が増加して子育ても一人で行うには大変ですが、育児不安は専業主婦のほうに多いとさえ言われます。今月は育児の基本について考えてみました。

 時代や社会が変わっても、子どもの発達の仕方や望ましい育児のあり方が大きく変わるわけではありません。子どもの心身が健やかに発達するためには、その養育者である両親が、子どもとはどのようなものか、どのように発達するものか、どのようにかかわったらいいのかなど子育ての基本になる原則を理解しておく必要があります。

 乳幼児は適切な育児をされることで一人前の人間に育って適切な社会生活を送ることができるようになります。生まれたすぐのあかちゃんは欲求のかたまりです。おなかがすけば母親がいくら疲れていようが、また周りの人がいくら迷惑しようが、泣き続けて自分の欲求を満たそうとします。人間の形はしていても理性を持った本来の人間ではないと言えます。子どもが最初から優しさや思いやりの心を持って生まれてくるのであれば、教育もしつけも必要はないのです。そこで子どもの育てかたやしつけが大切になるのです。

 しかしよく理解しておくべきことは、子どもが単なる欲求のかたまりではなく、すばらしい発達の可能性を持っているということです。どの子も意欲的な子どもや、心の優しい子ども、たくましい子どもに育つ可能性を持っているのです。

 このような可能性を引き出すには、子どもを育てる環境が大切です。とくに養育者の心の環境が大切です。親が子どもをどのように扱い育てるかによって子どもは意欲的にも、無気力にもなります。またやさしい子にも意地悪な子にもなります。親が子どもをどのようにしつけたいと思っているかということよりも、普段の両親がどのように生活し、どのように他人と接触しているかということのほうが、子どもには大きな影響を及ぼすと考えられます。子どもは両親の背中を見て育つと言われるゆえんです。

2005年12月13日掲載

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