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 じんましんの中にはアナフィラキシーと呼ばれる重篤で生命にかかわるような全身性の反応をあらわすものがあります。アナフィラキシーに対しては早期の適切な処置が必要であるばかりでなく、以後の予防も大切です。

 アナフィラキシーの症状としてはじんましん・紅斑・血管性浮腫などの皮膚症状、喉頭(こうとう)浮腫・気管支狭窄(きょうさく)などの呼吸器症状、血圧低下や不整脈などの循環器症状、吐き気・嘔吐・腸蠕動(ぜんどう)高進などの消化器症、頭痛・もうろう状態・意識消失などの神経症状を示すことがあります。この中でとくに呼吸困難と血圧低下があればアナフィラキシーと診断されます。

 これらの症状は原因植物の摂取中に出現することもありますが、摂取後数時間して出現することもあります。一般的には口腔内のピリピリ感や口唇、口腔粘膜、咽頭(いんとう)のかゆみや腫脹(しゅちょう)で始まります。その後、じんましん、紅斑、血管性浮腫が出現します。最初は局所の症状だけですが、次第に全身に広がります。その後、呼吸器症状や消化器症状へ発展します。

 症状には個人差があります。上気道の症状として大切なのは喉頭浮腫です。かん高い咳(せき)、かすれ声、声が出ない、ゼーゼー、飲み込みにくい、喉頭の締め付けられるような感じなどが見られます。下気道の症状には咳、ゼーゼー、呼吸困難など、消化器症状には吐き気、腹痛、嘔吐、下痢があります。一部の人には、動悸(どうき)、胸痛、不整脈、失神が見られます。血圧低下や意識消失といったショック状態になることもあります。ショック状態に対しては早期に適切な処置をしなければ生命に危険を及ぼす可能性もあります。

 また最近、原因食物摂取後4時間以内に運動するとアナフィラキシーが誘発される「食物依存性運動誘発アナフィラキシー」が話題になっています。発病したもののうち、原因食物摂取後60分未満に運動した場合が85%を占め、そのうちの75%が運動開始後30分以内に発病しています。この疾患は10~20歳代に多く見られ、原因として小麦、甲殻類、ソバ、魚類、果物が多くなっています。運動前には原因食品の摂取を控えること、原因食品を摂取したときには食後2時間は運動を控えることなどが大切です。

2005年10月25日掲載

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