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 冬に流行するウイルス感染症の代表はインフルエンザです。夏にはヘルパンギーナやプール熱が流行しました。

 夏と冬の間に流行する風邪の原因ウイルスにはいくつかの重要なウイルスがあります。今月は季節とともに流行するウイルスについて、さらに子どもにとって大切な呼吸器疾患との関係についてお話したいと思います。

 夏に流行したヘルパンギーナやプール熱は高熱を主症状としますが、これらの夏風邪が終わって増えてくる風邪の症状は鼻水から始まることが多くなります。

 秋から冬によく見られる風邪の原因はライノウイルスで、全ての風邪の30%以上を占めるといわれます。この風邪の症状は鼻水やせきと軽い発熱をともないますが、症状は比較的軽く早い時期に治ります。しかしウイルスの型が多く何回もかかることが特徴です。さらにぜんそくなどのアレルギー疾患をもつ子どもがこのウイルスにかかると、ぜんそく発作が誘発されることがあります。ライノウイルスは季節の変わり目に流行する風邪ウイルスですが、ぜんそく発作の原因になることがあり注意が必要です。

 少し寒くなるころに流行するのがRSウイルス感染症です。このウイルスは乳児の半数以上が1歳までにかかり、2歳までにはほぼ100%の子どもが感染を受けるとされます。母親からの免疫ではRSウイルスの感染を阻止することは困難とされていますので、新生児でもかかると言われます。しかし母体免疫の有無は感染後の重症化には大きな影響を持っていますから、母体免疫を十分に受け取らずに生まれてきた早産児では重症となることがあります。

 RSウイルス感染症の症状は鼻水とせきで始まり成人や年長児では一般の風邪として終わりますが、新生児や乳児期の早期には、下気道に炎症が拡大して重篤な呼吸障害が出現することがあります。先天性心疾患や慢性肺疾患など基礎疾患を持つ子どもには呼吸機能に大きな負担となります。

 ライノウイルスやRSウイルスに対するワクチンはありません。予防法は一般の風邪と同じように手洗いやうがいなどでウイルスの侵入を防ぐことで、とくに風邪をひいた人が新生児や乳児に接触する時には注意することが大切です。

2005年11月8日掲載

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