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 クループは喉頭(こうとう)炎など急性の喉頭狭窄(きょうさく)によって呼吸障害を来す疾患の総称です。喉頭は咽頭(いんとう)の後下部にあって気管の一番上の部分です。したがって喉頭に強い炎症が起こると気道の狭窄を起こして、息を吸うときにゼーゼー鳴ったり、犬が吠えるようにケンケンしたせきが出たり、声がかすれるようになります。ひどくなると窒息して呼吸困難やチアノーゼが見られるようになります。

 昔はクループといえばジフテリアを指すことばでしたが、3種混合ワクチンの普及によってジフテリアを見ることはほとんどなくなりました。したがって最近はクループといえば喉頭炎、喉頭気管炎、喉頭気管気管支炎、急性喉頭蓋(がい)炎を指すことになります。この中で急性喉頭蓋炎は急速に進行する重篤な呼吸困難が見られることがあり注意が必要です。

 その他、広義のクループに含まれるものに喉頭異物や外傷性のもの、アレルギー性のものなどがあります。同様の症状を来しますから原因を明らかにすることが大切です。

 乳幼児のクループが気道狭窄を起こしやすいのは次の理由によるものです。気道の発達が不十分であるため、炎症によって浮腫が起きやすく繊毛運動が障害されやすいこと、炎症による分泌物を喀痰(かくたん)として排出する力が弱いこと、また声門下の気道粘膜や粘膜下の組織は軽い炎症でも浮腫状に腫れやすいことなどが原因として挙げられます。その結果、呼吸困難から窒息に至る危険性が高くなるのです。

 クループの中で急性喉頭蓋炎はb型インフルエンザ桿(かん)菌が原因となる細菌感染で、突然の高熱と激しい咽喉の痛みやせきで発病し、12時間以内に呼吸困難や窒息を来す疾患です。原因が細菌感染ですから、初期の発熱や咽頭痛が見られた時点で、細菌感染を疑うことが大切です。

 しかしクループの大部分はウイルス感染で、原因はパラインフルエンザ、A型インフルエンザ、RS、アデノ、エンテロウイルスなどが知られています。

 ウイルス性のクループは発病の経過がゆるやかで、鼻水・鼻詰まりで始まり1~2日でクループ症状、3~4日で症状がピークに達し回復に向かいます。しかし呼吸困難が強ければ、入院・呼吸管理が必要になることもあり油断はできません。

2005年11月15日掲載

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