徳島県医師会 トップページへ

  • 文字サイズ標準
  • 文字サイズ拡大
文字サイズ変更について
県民の皆さまへ

 乳幼児の熱性けいれんは小児救急疾患の代表的なものです。熱性けいれんはほとんどが5分以内に止まり、心配することはないとされます。

 しかしけいれん発作が目の前で1分間以上続き、だんだん顔色があおくなっていくところを見れば、本当に自然に止まるのかと随分不安になります。これを見た家族が心配するのは当然のことです。また初めてけいれん発作を見たときに、それが単純な熱性けいれんであるのか、重大な神経疾患の初発症状であるのかを判断することは大切なことですがとても難しいことです。

 熱性けいれんで重要なことは単純な熱性けいれんであるのか、他の疾患に関連して起こったけいれんであるのかを区別することです。

 初めての発作でそれを区別するのはなかなか難しいことです。その鑑別のためにはけいれんの持続時間やけいれん発作の形、子どもの病歴や家族歴、基礎疾患の有無などの情報が役に立ちます。

 一般にけいれん発作が長い場合、半側性(半身で起こる)や焦点性(一部から全身に広がる)のけいれん、それまでに無熱性(平熱で起こる)けいれんがあった場合、発達遅延や脳性まひなどの神経疾患を持つ場合、家族にてんかんがある場合などには単純な熱性けいれんとは考え難いものです。

 熱性けいれんであってもけいれん発作が長く続くことがあります。けいれん発作が30分以上続く場合をけいれん重積と言います。この場合にはできるだけ早くけいれんを止めることが重要です。

 発作が長く続くと呼吸抑制がおこり低酸素血症が発生し心肺機能の抑制も起こることがあります。また脳浮腫が起こると生命の危険や神経系の後遺症につながることがあります。
 けいれん発作が長時間続く場合にはその原因として脳炎・脳症、髄膜炎など中枢神経系の疾患、また低血糖などの代謝異常症、発熱をきっかけに発症したてんかんなどが隠れていることがあります。このような基礎疾患を正確に診断して治療するためには入院して治療を行うのが原則です。

 1回だけの熱性けいれんだけで将来の再発を予想することは困難です。けいれんが止まっていればあわてて夜中に救急受診する必要はありません。意識障害など全身の状態を見極めてゆっくり小児科医を受診しましょう。

2005年9月20日掲載

© TOKUSHIMA MEDICAL ASSOCIATION.