徳島県医師会 トップページへ

  • 文字サイズ標準
  • 文字サイズ拡大
文字サイズ変更について
県民の皆さまへ

 今月は熱性けいれんについて考えてきました。熱性けいれんを繰り返す場合に問題になるのはてんかんとの区別です。てんかんは無熱時に反復する発作が特徴で脳神経細胞の異常な発射(異常な興奮)が原因で起こる疾患とされます。

 一般には脳波検査などでてんかんの診断がつけばその後数年間は継続的な治療のために通院が必要となります。熱性けいれんであれば2~3年、発作時のみの予防処置を行います。
 初めて熱性けいれんを起こした場合にそのけいれん発作がてんかんであるのかどうかを判断することははなはだ困難とされます。

 てんかん発作の危険性因子には、けいれんが長時間続く場合、24時間以内に繰り返してけいれんが起こる場合、またけいれんが半側性である場合や身体の一部分から起こる場合、家族にてんかんの病歴がある場合、それまでの発達歴に遅れがある場合や神経疾患を有する場合などが考えられます。発熱時のけいれんであっても以上のような危険因子を持つ場合にはまず詳細な病歴を聞き取り、発達の異常の有無や家族歴を明らかにした上で、脳波検査やCT・MRIなどの画像検査、その他の代謝性疾患を調べるための生化学的な検査をする必要があります。

 熱性けいれんに対する治療および予防について、最も多く使用されているのはジアゼパム座剤です。来院時にけいれんが止まっていない場合にはできるだけ早くけいれんを止める治療を行います。けいれんが止まっている場合には予防的にジアゼパム座剤を使用するのが一般的です。もし家庭でけいれんが5分以上続いて止まる気配がなければ救急で受診する必要があります。この時にはけいれん重積になる可能性を考えて入院施設のある病院を選ぶほうがいいと思います。

 ジアゼパム座剤が使用できるようになって熱性けいれんの予防は大変楽になりました。熱の出始めに1回、8時間後に2回目を使用することによって3~4日間けいれんの予防ができるのです。ただ普通の熱性けいれんはそう何回も起こることはありませんから、どのような時に使用するのか、いつまで使用するのかなど正しい診断によっていたずらに不安がることなく薬剤の過剰使用のないようにすることも必要です。

2005年9月27日掲載

© TOKUSHIMA MEDICAL ASSOCIATION.