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 今月は睡眠時無呼吸症候群についてお話ししてきました。睡眠時無呼吸症候群は睡眠中の呼吸障害を特徴とする疾患です。呼吸障害による睡眠障害が主な症状ですが、その結果として心身の不調をもたらします。成人では本症による睡眠障害のために時と場所を問わずに眠り込んでしまうほどの強い眠気が生じ、そのために仕事上のミスや事故につながることがあります。子どもでは学業の低下や集中力の欠如などが見られます。しかし子どもの中には睡眠障害があるにもかかわらず覚醒反応が起こらず、長期間の低酸素状態が持続することや、呼吸停止から生命にかかわる状態になることもあります。子どもの睡眠時無呼吸症候群はそれほど珍しいものではありませんから注意が必要です。

 睡眠中に呼吸障害を来すのは睡眠時無呼吸症候群に限ったものではありません。鼻かぜや鼻炎のときに鼻づまりがひどくなると眠れなくなります。胸郭や横隔膜の呼吸運動は見られるのに上気道に閉塞があって呼吸障害が起こるのが閉塞型の無呼吸です。上気道の閉塞を来す疾患として最も多いのは口蓋扁桃(へんとう)肥大やアデノイド増殖症です。また生まれつき顎(あご)が小さいとか舌が巨大であって咽頭(いんとう)のすき間が小さくなることも原因になります。脳性まひ、ダウン症、甲状腺機能低下症なども呼吸筋の緊張低下が原因となって無呼吸を呈しやすいと言われます。

 上気道の閉塞は程度が軽ければ体位の変換で症状が軽減されることもあります。慢性炎症に対しては抗ヒスタミン剤、消炎剤、去痰(たん)剤や抗生剤での治療効果が期待できる場合もあります。閉塞が高度で血中の酸素濃度低下が著しい場合には手術も考慮する必要があります。アデノイド・扁桃摘出術や口蓋垂軟口蓋咽頭形成術によって狭い咽頭腔の拡大を試みることもあります。また高度の肥満が原因になっている場合には減量をすすめます。

 また未熟児や神経筋疾患を持つ子どもでは軽い鼻づまりなど突然の無呼吸を引き起こして生命に危険が及ぶことがありますので普段から無呼吸の有無に十分注意しておく必要があります。

2005年7月26日掲載

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