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 呼吸は人の生命活動に必要な生理現象ですから、私たちのからだは眠っているときでも呼吸運動を続けています。呼吸運動は呼吸中枢に支配されて自動的に行われていますから、意識の有無にかかわらずに運動し続けることができます。また呼吸は意識して速くしたり遅くしたり、深くしたり浅くしたり、自分の意思でもある程度コントロールすることができます。睡眠中の呼吸が障害されると生命にかかわるだけでなく、睡眠が十分に取れなくなることで、日常生活に支障を来します。

 新生時期から生後1~2ヵ月までの乳児で睡眠中の呼吸を観察すると、速くなったり遅くなったりしてとても不規則であることがわかります。急に速くなったかと思うとゆっくりになって少しの間、止まっていることもあります。呼吸が不規則なときには睡眠の深さはレム睡眠かノンレム睡眠でも浅い睡眠のときです。ときには眠っているのか起きているのか区別がつかないこともあります。睡眠の深さと呼吸の規則性には密接な関係があります。睡眠が深くなると呼吸数は減少して規則的で安定した呼吸になります。新生児期には大人や年長児に見られる深い睡眠はほとんど持続することはありません。したがって呼吸運動は常に不安定なものになります。生理的に深い睡眠が見られるようになるには生後2~3ヵ月以降です。したがって安定した規則的な呼吸が出現するのはこのころ以後になります。

 呼吸運動は発達にともなって大きく変化します。とくに未熟児の呼吸は在胎週数が小さいほど呼吸中枢は未熟でしばしば睡眠中の無呼吸を起こします。無呼吸発作は突然起こりチアノーゼやけいれん発作を引き起こすことがあります。当然このような無呼吸発作は生命予後や神経学的後遺症の発生に大きな影響を及ぼすことになります。

 また乳児突然死症候群の発生にも睡眠中の無呼吸が関与している可能性があります。突然死は無呼吸が起こっても覚醒反応が起こらず死に至るものと考えられています。新生児期から乳児期早期にしばしば睡眠中の無呼吸を呈する場合には、睡眠中の呼吸状態だけでなくチアノーゼの有無や食欲、元気があるかどうかにも十分気をつけておく必要があります。

2005年7月19日掲載

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