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 睡眠時無呼吸症候群は睡眠障害のひとつです。最近、運転手の居眠り事故の原因疾患として話題になりました。一般に本症は肥満した成人に多い病気と考えられていますが、小児の睡眠時無呼吸もそれほど珍しい疾患ではありません。成人にとっても子どもにとっても睡眠時の無呼吸は臨床的に重要な意味を持っています。今月は睡眠と呼吸の関係について考えてみたいと思います。

 睡眠時無呼吸症候群はその原因から中枢性無呼吸と閉塞性無呼吸に分類されます。中枢性無呼吸は呼吸中枢の異常によって起こるもので睡眠中に呼吸運動が見られなくなる状態です。閉塞性のものは睡眠中の呼吸運動はあるのですが、上気道の閉塞のために気道が閉塞されて呼吸障害を呈するものです。成人の場合には閉塞性無呼吸の割合が多く、肥満型の中年男性に多い傾向があります。

 夜間睡眠中に無呼吸が起こると苦しくなって覚醒反応が起こります。つまり眠ると呼吸が出来なくなって覚醒してしまい眠れなくなるのです。激しいいびきをかくこともあります。また夜間睡眠中の無呼吸は内臓に大きな負担がかかり、高血圧などの合併症を引き起こすことになります。その結果、起床時の頭痛、日中の強い眠気、うつ状態などを訴えることになります。強い眠気のために仕事の能率が低下するだけでなく、大事な仕事中に居眠りをして事故を起こすこともあります。仕事上のミスは社会的、経済的に大きな損失を及ぼすと考えられます。子どもの場合には成長障害や成績の低下などが見られます。

 睡眠時無呼吸症候群を本人が自覚することは少なく、家族が激しいいびきや呼吸停止によって気付くことが多いと言われます。子どもでは肥満が原因になるものよりも、顎(あご)が小さいとか扁桃(へんとう)やアデノイドの肥大がある場合、筋肉疾患で筋緊張低下にともなうものなどが多いとされます。

 成人の無呼吸の基準は10秒以上続く無呼吸が1時間に5回以上あることとされます。子どもの無呼吸はこの基準には必ずしも当てはまりません。年齢や随伴症状を考慮して無呼吸の判断を行います。睡眠時無呼吸症候群が疑われた場合には専門家による精密検査が必要であることは言うまでもありません。

2005年7月12日掲載

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