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 かぜ症候群は自然治癒する傾向の強い疾患ですから、特別な治療を要することは少なく、一般的な治療が大切です。治療の原則は安静、保温、栄養を良い状態に保つことです。とくにライノウイルスは鼻水や鼻閉が主な症状になりますから鼻呼吸が中心の乳幼児では呼吸障害を来すことがあります。寒くて乾燥する時期には保温や保湿を、発熱にともなって食欲が低下するときには水分が多くて軟らかい消化吸収の良い食事を与えます。元気があっても発熱中は安静にすることを勧めます。入浴に対する考え方はさまざまですが、熱が高いときや元気がないときにはひかえた方がいいでしょう。

 かぜ症候群に対する薬物療法は一般療法に準じたものになります。鼻水や鼻づまりに対しては抗ヒスタミン剤の投与を行います。咳(せき)が多いときには咳止めを使用することもありますが、痰(たん)がからんでゼロゼロするときには気管支拡張剤や去痰剤を投与します。抗ヒスタミン剤でも痰が粘くなりますから注意が必要です。

 発熱に対して解熱剤の投与は慎重でなければなりません。単に熱を下げるための薬剤は必要ありません。全身状態が良く機嫌が良いときや食欲もあるときには使用しない方がいいでしょう。ひどく機嫌の悪いときや痛みが強いときにその痛みを取る目的で必要最低限の使用は許されると考えられます。  

 かぜ症候群に対する抗生剤投与は必要ありません。かぜの原因はほとんどがウイルスですから細菌を殺す抗生剤は意味がありません。抗生剤の投与理由の中に、二次的な細菌感染の予防ということが挙げられますが、これも有効であるとする根拠はないとされます。抗生剤使用にあたって、もっとも大切なのは原因菌です。原因が明らかに細菌であること、原因細菌は何かを考えて抗生剤を投与するのが大事です。ただ熱が高いからとか、ただのどが赤いからと、漫然と抗生剤を投与すると抗生剤に対する耐性菌を増加させます。本当に重大な細菌感染症にかかったときに使用できる薬剤がなくなると大変なことになります。

2005年5月17日掲載

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