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 B型肝炎ウイルスは血液、精液、唾液を介して感染するので、母子感染、家族内感染、性行為、医療事故、輸血や血液製剤投与などが感染経路として挙げられます。ウイルス検査の進歩や使い捨ての注射器や注射針を使用することによって輸血などの医療を介するB型肝炎の感染機会は激減しています。その結果、B型肝炎の感染経路として母子感染や家族内感染が重要視されています。

 B型肝炎は感染後30~180日の潜伏期間で発病しますが、乳幼児期には無症状に経過することが多いとされます。ウイルスは直接、肝細胞を攻撃するわけではありません。ウイルスが感染した肝細胞を異物と認識した自分の免疫が肝細胞を攻撃するために肝障害を引き起こすのです。したがって免疫が十分に発達していない新生児や乳児では肝炎は発病しないのです。年長児で肝炎を発病すると、黄疸(おうだん)が出現する1~2週間前から発熱、全身倦怠などの感冒症状、食欲不振、吐き気や嘔吐など胃腸症状、関節痛、発疹(はっしん)などが見られます。血液検査で肝機能に異常が見られるのは黄疸出現前で、その後2~3ヵ月で肝機能は正常化します。発病直前から急性期に体内のウイルスが増加し、回復とともに血液中にウイルスに対する抗体が出現しB型肝炎ウイルスの量は減少します。

 感染したウイルスの量が少ない場合や、感染した人に免疫不全の状態があると、急性肝炎の症状があらわれず、持続感染の状態になります。肝細胞の中にウイルスが入り込んで長い期間ウイルスを排出し続けるのです。これがいわゆるキャリア(保因者)と呼ばれる状態です。キャリアの肝臓では常にウイルスが産生されており、これが感染源になります。キャリアの血液や唾液、精液に接触すると粘膜や皮膚の傷口などからウイルスが侵入して感染が起こります。キャリアの母親から生まれてくる新生児は分娩時に臍帯(さいたい)を通して汚染された血液が胎児に移行して感染します。また粘膜や皮膚を通して感染する経産道感染の危険性も指摘されています。

2005年4月19日掲載

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