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 インフルエンザが流行し始めると「熱が出たのでインフルエンザの検査をして下さ」と熱の出始めに医療機関を受診する人がいます。インフルエンザの検査はのどや鼻の粘膜から出るウイルスと試薬を反応させることで判定するので、検査で陽性結果を得るためには一定量のウイルスが必要となります。従って、発病初期のウイルス量が少ない時期にはたとえインフルエンザであっても検査は陰性になることがあります。検査時期が早すぎると検査結果を誤って判断してしまう可能性があります。冬に発熱や咳、鼻水などの感冒症状を示すウイルス感染にはRSウイルスやライノウイルスがあり発熱だけではどのウイルスによるものかは区別できません。あまりあせって検査するとかえって治療の機会が遅れたり、反復検査によって無駄な費用をかけたりすることになります。また周囲に明らかにインフルエンザの診断がついた人が居れば必ずしも検査にこだわることはありません。成人の基礎疾患を持った人に限って今年から抗ウイルス剤の予防投与が認められました。ただし予防投与の場合には保険の適用はありません。

 インフルエンザにかかって治療を受けた後、熱が下がるとすぐに学校や保育園など集団生活を始める人がありますが、熱が下がっても鼻粘膜にはまだウイルスが残っています。解熱後1日目には80%、2日目でも40%以上の患者さんにウイルスが認められ3日目になってやっと10%台に下がるとされます。もともとインフルエンザの経過は二峰性の発熱パターンをとることが知られています。3~4日目に一時熱が下がって治ったように見えるのですがその後、もう一度発熱するのです。抗ウイルス薬を投与してもウイルスが死ぬ訳ではなくのどや鼻からウイルスが検出されると言われます。また薬剤に対する耐性ウイルスの出現も報告されるようになりました。インフルエンザにかかった時には解熱後3日間くらいは家に居るようにしましょう。インフルエンザは合併症が多い疾患です。治ったと思っても十分に時間をとることで不必要な合併症を予防するとともに集団へ感染を拡大させない配慮がほしいものです。

2004年12月28日掲載

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