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 睡眠は人が生きていくうえで欠かすことのできない現象のひとつです。人は毎日ほぼ決まった時間に寝て、ほぼ決まった時間に起きます。これは人の睡眠・覚醒のリズムが日出や日没という地球の自転にともなう明暗のリズムに一致して変動しているからです。

 しかし睡眠リズムも社会の進歩にともなって変化します。生活のパターンが夜型になると、睡眠のリズムも影響を受けて、夜更かしで朝寝坊のパターンが増えています。結果、朝から居眠りをするなど睡眠不足から頭痛などの体調不良を訴える子どもが増加してきます。今月は子どもにとって大切な睡眠について考えてみました。

 子どもの成長にとって睡眠は大きな意味を持っています。昔から「寝る子は育つ」ということわざがあるように、睡眠の良否と成長の間には密接な関係があります。これには睡眠中に分泌される成長ホルモンが関与しています。入眠直後の深い睡眠で成長ホルモンの分泌が多く、よく寝る子は成長ホルモンの分泌が多くなるために成長も良くなるのです。またよく眠る子どもには眠りの邪魔になるような病気がないためよく成長すると考えられます。

 良い睡眠とは寝つきが良く、夜中に目覚めることなく、気持ちよく目覚めることが出来る睡眠です。入眠直後に深い睡眠が出現し、その後明け方まで数回のレム睡眠が規則的に出現し、明け方に浅い睡眠になりそのまま自然に目覚めると快適な覚醒が得られます。

 気持ちよく目覚めると1日の生活は活発で充実したものになります。反対に夜更かしをすると、寝つきが悪くなり、入眠直後の深い睡眠が出現し難く、いたずらに長い睡眠を必要とします。当然、気持ちよく目覚めることは出来ませんから昼間の生活は不活発なものとなります。

 睡眠の役割には休息以外にもさまざまなものがあります。成長ホルモンをはじめさまざまなホルモンが睡眠に関係して分泌していることはよく知られています。私たち現代人の生活時間は睡眠を犠牲にして行われていると言われます。このような夜型社会は、心身ともに未発達な子どもたちに大きな影響を及ぼしていることを理解しなければなりません。

2005年1月11日掲載

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