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 乳幼児の後半になると夜中に目を覚まして急に泣き出し、何十分も泣き止まなくなることがあります。どこかが痛いのではないかとか重い病気で泣いているのではないかと心配になりますが、しばらく泣き続けると何もなかったかのようにけろっと泣き止みます。しかし毎晩、決まって深夜に泣き出すと両親は大変心配になります。これが夜泣きです。また睡眠中に起き出して歩き回るとか、つじつまの合わない会話をする、叫びだすなどの、いわゆる「寝ぼけ症状」は夢中遊行とか夜驚症と言われます。  

 夜泣きは生後7~8ヵ月によく見られ、夜驚症や夢中遊行は生後2歳ころから6歳ころまで多く見られます。このような睡眠中の行動異常は睡眠の発達過程に見られる現象で、ほとんどのものは自然に治りますが、交通事故などの恐怖体験やいじめなどによるPTSD(外傷後ストレス障害)や睡眠中に見られるてんかん発作に対しては適切な治療が必要ですから鑑別しておく必要があります。

 睡眠中の異常行動はレム睡眠の異常によるものと、深睡眠の異常によるものに分けられます。夜泣きはレム睡眠の異常によるもので毎晩決まった時刻に現れる傾向があります。レム睡眠時の脳波上は覚醒に近いパターンを示しているのに、筋肉の緊張は睡眠中でもっとも低下していますから姿勢を維持することや大きな運動を行うことは出来ません。しかしレム睡眠中には小さな筋肉が瞬間的に収縮する運動が多く見られます。このような小さな筋収縮が過剰に起こると覚醒してしまいます。夜中によく目を覚ます子や夜泣きする子はレム睡眠中に体動が過剰に起こって起きてしまうためだとされます。

 夜泣きに対しては特別な治療の必要はありません。睡眠が十分発達すれば夜泣きは自然に治ります。夜、ぐっすり眠るには昼間の活動レベルを上げて、しっかり遊ぶこと、しっかり運動することです。また家族の生活も子どもの睡眠に大きな影響を及ぼしますから、両親もストレスを少なくして規則正しい生活を心がけましょう。

2005年1月18日掲載

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