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 学校や乳幼児の健診で尿検査をすることがあります。検査項目には蛋白・糖・潜血(血尿)を調べることが一般的です。今月は検尿の意義、腎臓の働き、さらに蛋白尿や血尿が見つかった場合に考えておかなければならない腎臓病についてお話ししたいと思います。

 検尿は比較的手軽な検査ですから健診でも医療機関でもよく行いますが、子どもの尿を採ることはそれほど簡単ではありません。とくにおしめをしている乳幼児の採尿は採尿バッグを使って尿が出るまで待ちますが、尿が採れるまでに時間がかかることが多いのでなかなか面倒なものです。また正確な検尿のためには清潔な状態で尿を採る必要がありますから尿を採るだけでもなかなか大変です。

 尿蛋白の中には病的な蛋白尿と正常人でも見られる良性(生理的な)蛋白尿があります。良性の蛋白尿はもちろん治療の必要はありません。良性蛋白尿には機能性蛋白尿と体位性蛋白尿があります。前者には運動、発熱、ストレス、寒冷、けいれん、脱水などで起こるものがあり正常人でも見られます。体位性蛋白尿には起立性のものや、からだを弓なりにそらせたときに腎臓を圧迫して出る蛋白尿などがあります。しがたって尿を採る時の条件を厳しくしなくてはその判定を誤ってしまうことになります。尿蛋白の判定は早朝尿で行うもので、夕方の蛋白尿は陽性であっても病気ではないことがあります。また発熱時や運動後、寒冷刺激を受けた後の蛋白尿は腎臓病のない人にも見られます。体位性蛋白尿は身長が急速に伸びる時期によく見られます。これらはすべて良性の蛋白尿ですから、早朝安静時尿で検査すれば陰性になります。反対に早朝尿で蛋白の陽性が持続する場合には病的な尿蛋白と考えられ、精密検査が必要とされます。

 病的な蛋白尿の代表は腎臓病ですが、高度の蛋白尿の場合にはネフローゼ症候群を疑い、血尿をともなうものは腎炎を疑います。しかし蛋白尿や血尿を示す疾患は腎臓病だけではなく全身の様々な疾患を考えておかなければなりません。症状のない尿異常についても早期に正確な診断をつけることが大切です。

2004年9月14日掲載

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