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 脱水症とは体内の水分が病的に減少した状態で、普通は水分だけの喪失にとどまらず、NaやKなど電解質や炭酸塩などが一緒に失われるので体液の電解質濃度や酸塩基平衡のバランスが崩れます。大量の水分喪失が起これば循環不全に陥ることもあります。

 小児が成人に比べて脱水症を起こしやすいのは、体内の水分の占める割合が大きいからです。体内の水分の中で細胞内水分はあまり変動しませんが、これに比べて細胞外水分は毎日、激しく出入りします。細胞外液は循環血漿と間質液からなり、成人では体重の20%くらいであるのに対して、乳児では体重の30%であり、小児の細胞外水分量の割合が多いのです。体の水分は常に出入りしていますが、体液の電解質や浸透圧、酸塩基平衡は常に一定に保たれています。成人の1日水分摂取量は約2,000mlです。体重7kgの乳児でも約1,000mlの水分を摂取します。乳児では細胞外水分の約2分の1が毎日、入れ替わりますが、成人では約7分の1しか出入りしません。ですから少しでも水分の出納にバランスの変化が生じた場合には脱水症を起こしやすいのです。小児は常に病気にかかりやすくて、水分摂取の減少や水分喪失の影響を受けやすい状態にあります。嘔吐や食欲不振のために水分が摂れない時や、下痢や発汗などで水分が喪失する時には、簡単に水分の出納がマイナスになってしまうのです。

 脱水症を起こしているかどうかの評価は健康な時に比べてどのくらい体重減少があるかを調べます。3~5%の体重減少であれば軽度の脱水症、6~9%の体重減少があれば中等度の脱水、10%以上の体重減少があれば重症の脱水症と考えます。嘔吐や発熱に伴って水分摂取量が減少し、また下痢や発汗による水分の喪失で脱水症を疑う時には、体重減少の程度を知っておけば輸液療法が必要かどうかを判断する情報のひとつになります。軽症の脱水症であれば経口的な補液で治療が可能とされます。

 嘔吐下痢症などの脱水症を起こす可能性のある疾患にかかったときには水分、電解質、ブドウ糖を十分に摂取するようにし、脱水症を予防することが大切です。

2004年5月25日掲載

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