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 初夏に流行する発熱を主微とするウイルス感染症は一般に夏かぜと呼ばれ小児にとって重要な意味を持っています。夏かぜの代表にはプール熱とヘルパンギーナと呼ばれる2種類の感染症が挙げられます。今月はウイルス感染の代表である2つの疾患とその関連疾患について、さらに溶連菌感染症など治療法が異なる細菌感染症についてお話ししたいと思います。

 プール熱はアデノウイルスによる咽頭結膜熱と呼ばれる疾患で、発熱、咽頭痛、結膜充血を特徴とします。夏季に流行し、幼児から学童によく見られます。伝染力が強く、飛沫感染やプールで接触するなど水を介してうつります。潜伏期間は5~7日で突然39~40度の高熱、頭痛、食欲不振で発病し、咽頭痛、結膜充血、下痢などが見られます。発熱は3~5日間持続します。眼症状としては涙目や目やに、眼痛などがあります。夏季に見られる結膜炎の中で発熱と咽頭炎をともなうものは本症を疑います。

 アデノウイルスはいくつかの血清型に分類されており、その型によって臨床症状に特徴が見られるとされます。呼吸器感染症として咽頭炎・へんとう炎を起こして高熱を出すもの、気管支炎や肺炎を起こして重症化するもの、咽頭結膜熱(プール熱)の他に流行性角結膜炎や出血性結膜炎などの眼疾患を来すもの、乳幼児の嘔吐下痢症など消化器疾患を来すもの、出血性ぼうこう炎など泌尿生殖器疾患を来すもの、髄膜炎や脳炎など中枢神経疾患を起こすものなどさまざまな疾患を起こすものが知られています。

 咽頭炎やへんとう炎を来すアデノウイルス感染症と鑑別すべき疾患は細菌感染、とくに溶連菌による咽頭炎・へんとう炎です。最近ではアデノウイルスも溶連菌も迅速検査キットを用いれば、短時間で簡単に検出することができます。アデノウイルスによるへんとう炎には抗生剤は無効です。診断確定のための検査をすることで不必要な抗生物質の投与を防ぐことが出来ます。

2004年6月8日掲載

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