徳島県医師会 トップページへ

  • 文字サイズ標準
  • 文字サイズ拡大
文字サイズ変更について
県民の皆さまへ

 夏かぜの特徴は高熱と咽頭痛ですが、その代表的な疾患はプール熱とヘルパンギーナです。ヘルパンギーナはのどに小さな水泡が出来て、これが破れて潰瘍になって強い痛みを訴えます。高熱と咽頭痛で十分な食事が取れなくなると脱水症状を起こすこともあり、また高熱に伴って熱性けいれんを起こすこともあり注意が必要です。

 ヘルパンギーナはエンテロウィルスと呼ばれるウィルスで引き起こされます。その潜伏期間は2~4日です。突然の発熱で始まり咽頭痛を訴えます。口を大きく開けてのどの奥を見ると、口蓋弓の上部に周囲が赤くなった水泡が認められます。この水泡は破れて潰瘍になりそれに伴い咽頭痛や頭痛、嘔吐を認めることもあります。高熱と特徴的な咽頭の所見があれば診断は難しいことはありません。高熱は1~5日間、口内疹は4~5日で自然に消退します。

 この疾患の原因であるエンテロウィルスはのどから侵入して腸管で増殖し、その一部が血液中に侵入し、血液を介して各臓器に広がり、そこで組織障害を起こして臨床症状を呈すとされます。増殖したウィルスはのどからも糞便中にも排泄されます。唾液中のウィルスや糞便内のウィルスが接触または飛沫により伝染します。エンテロウィルスの中にはエコー・コクサッキー・エンテロ(狭義の)ウィルスが含まれ、ヘルパンギーナ以外には手足口病、無菌性髄膜炎、ポリオなどの原因ウィルスとして知られています。手足口病も夏に多い感染症のひとつですが、最近は夏以外の季節にも発生することがあります。これらの感染症は一度かかれば免疫が出来ますが、同じ病気でも違う型のウィルスであれば何回もかかることがあります。

 ヘルパンギーナは高熱や咽頭痛を来し、乳幼児にとってはつらい病気ですが現在のところ治療法はありません。手洗いや患者の糞便の処理などに注意し、できるだけ感染予防につとめなければなりません。もしかかった場合には水分や栄養の補給に注意し脱水症にならないようにしなければなりません。

2004年6月15日掲載

© TOKUSHIMA MEDICAL ASSOCIATION.