今月は予防接種を県内どこでも受けることが出来る広域化という制度についてお話ししてきました。前回までに予防接種は生後3ヵ月を過ぎれば出来るだけ早期に始めること、そのスケジュール上から個別接種が望ましいことについてお話ししました。今回は子どもの体質や病歴によっても個別接種が大切であることについてお話しします。
小児科医が子どもの予防接種を行う時に最も注意を払うのはアレルギー体質やけいれん体質や神経疾患がある場合だと思われます。アトピー性皮膚炎や食物アレルギーなどのアレルギー体質があって食事療法を受けている患者さんの場合に、その予防接種でアレルギー反応を引き起こさないかどうかについては大変に気になるところです。またけいれん発作を有する患者さんや中枢神経系に疾患を持つ子どもの予防接種についても大変に注意に要するものです。けいれん発作の後どのくらい日にちが経てば接種できるのか、予防接種後に発熱が見られた時にどのように対処するのか、脳性まひや発達遅滞など神経疾患の子どもに副作用が出た場合に元の神経症状との関係はどうか、また予防接種を行うかどうかについてなど主治医の判断が重要であるのは当然です。
私たち小児科医は多くの患者さんを毎日診察していますが同じ地域の子どもたちばかりではありません。そして市町村が異なればいつも診ている子どもでも定期予防接種を行うことは出来ません。アレルギーや神経疾患ばかりではありません。日常のありふれた疾患であっても患者さんの中には強い不安を抱えている人がいます。主治医に予防接種をしてもらいたいと希望する人もいます。地域外であると余分な労力や費用がかかります。予防接種が県内全域どこでも自由に受けられるシステムを作って、徳島県に住む子どもたちがみんな平等に、そして患者さんも医者も安心して予防接種が出来るようにしたいものです。
県民の皆さまへ
予防接種の広域化について 3
- 詳細
- カテゴリ: 小児科相談
2003年10月28日掲載