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 川崎病は高熱を主症状とする炎症性疾患です。その本態は血管炎ですから、検査所見も炎症所見が見られるだけで、感染症など他の疾患による炎症と本症を区別できるものはありません。しかし心エコー上での心血管系の変化は診断に重要であり、特に冠動脈瘤などは後遺症の有無にも影響があり大切な所見です。急性期に見られる冠動脈の拡大や冠動脈瘤などの変化と、血流に影響を及ぼす血液中の血小板の数は重要な検査所見と考えられます。川崎病の急性期に見られる冠動脈の変化は1~2週間で出現し、1~2カ月以内に多くは正常化しますが、5~6%は6カ月以上異常が残ることがあります。

 川崎病の治療はこれまでに様々な治療が試みられてきました。急性期における治療の目的はこの炎症を抑制することで発熱などの苦痛を速やかに取り去るとともに冠動脈の炎症を出来るだけ軽くし、また血栓形成を抑制して冠動脈病変を予防することです。

 治療の代表はアスピリン療法と免疫グロブリン療法です。アスピリンは炎症性疾患の代表的な治療法であると同時に、血小板機能を抑制して血栓形成を予防します。免疫グロブリンはその大量療法が行われるようになって、治療性成績が向上したと言われていますが、なお本症の致命率が0.3~0.5%あるとされ重症の川崎病に対する治療には大きな問題が残っています。

 治療効果の目安は解熱と検査上の炎症所見の改善です。早期に治療に反応して解熱し、急性炎症所見が正常化すれば急性期を脱したと判断し退院します。しかし川崎病は冠動脈の拡大や冠動脈瘤などの後遺症を残すことがあるので、退院後の経過観察が大切です。高度の冠動脈の拡大が起こると、回復期以後に血管狭窄や血栓形成を起こしやすくなり、心筋梗塞を起こすことや突然死の危険性が増加します。従って川崎病にかかった人は急性期を過ぎても、大きくなるまで心エコーや心電図検査などを定期的に受ける必要があります。

2003年3月25日掲載

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