徳島県医師会 トップページへ

  • 文字サイズ標準
  • 文字サイズ拡大
文字サイズ変更について
県民の皆さまへ

 最近、アトピー性皮膚炎や花粉症などのアレルギー疾患が増えているという話をよく耳にします。アレルギー疾患は遺伝的な体質を基礎とする疾患ですが、時代とともにその発病の様相が変わってきています。代表的な疾患であるアトピー性皮膚炎についても以前は子どもの病気とされていましたが、最近では成人のアトピー性皮膚炎が問題になっています。またアレルギー性鼻炎も昔は子どもにはないと言われた時代がありましたが、最近ではその発病の低年齢化が指摘されています。

 アトピーと言うとアトピー性皮膚炎のことだと思われがちですが、元々アトピーはその体質を示す言葉で、アトピー性皮膚炎以外の喘息や鼻炎もアトピー体質と言われる遺伝的な体質を元に発病する疾患です。小児の体質は生まれる前から胎内で様々な影響を受けると言われます。例えば、母親が妊娠中に食べた食物や環境の化学物質の影響を受けています。もちろん出生後に子どもが口にする食物や環境の影響を受けることは当然です。

 喘息や鼻炎などのアレルギー疾患がアトピー体質を基に発病する疾患であることから、アトピー性皮膚炎と喘息や鼻炎にはお互いに密接な関係を有することが理解できます。乳児期にアトピー性皮膚炎だった子どもが、成長するにつれて喘息や鼻炎を発病することがあります。多くの子どものアレルギー疾患は食物アレルギーや乳児湿疹、アトピー性皮膚炎で始まり、その後の環境からの物理的、化学的または生物的刺激を受けて、喘息や鼻炎を発病してきます。このようなアレルギー疾患が次々に変化しながら出現していくことをアレルギーマーチと言います。アレルギー疾患が年齢の経過とともに変化することを川の流れに例えて、上流にアトピー性皮膚炎を、その下流に喘息や鼻炎を置いて疾患の流れを理解します。喘息とアトピーが同時に見られることもありますが、喘息が出てくる頃にアトピーが良くなることもあります。両親や兄弟にアトピー素因のある人がアトピー性皮膚炎になった場合には、その後のアレルギー疾患の発生に注意する必要があります。

2002年10月8日掲載

© TOKUSHIMA MEDICAL ASSOCIATION.