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 ポリオは小児麻痺とか急性灰白髄炎と呼ばれるウイルス性の神経疾患です。ポリオウイルスは夏かぜなどと同じエンテロウイルスに属するウイルスです。最近、我が国でポリオの発生を見ることはありません。ポリオについて最近の話題は、ワクチンの副反応およびワクチンの変更についてのことになります。それは子どもに生ワクチンを投与した時に免疫のない家族がポリオを発病することです。

 今から40年ほど前にポリオが全国で大流行し、旧ソ連からワクチンを緊急輸入して流行を沈静化したことがあります。その後、ワクチンの普及や衛生状態の改善などにより日本をはじめ先進国でポリオはほぼ撲滅されたと思われます。ただ日本以外の外国、インドや南西アジア、アフリカなどにはまだポリオが流行している地域がたくさんあります。海外旅行や仕事で外国に行く人は、ポリオに対する免疫がなければ、発病の危険性があることを知っておかなければなりません。

 ポリオにかかっても90%以上は不顕性感染あるいは不全型で終わり、典型的なポリオとなるのは0.1~0.5%程度であると言われています。軽い場合には発熱や咽頭痛や咳などの呼吸器症状、下痢や嘔吐などの胃腸症状を呈するだけですが、重くなると髄膜炎を示すものがあり、これらの症状の上に弛緩性の麻痺が出現すると典型的ポリオとなります。麻痺は発熱などの症状がなくなる頃に現れます。

 現在、日本では経口生ワクチンを使用しています。生ワクチンは不活化ワクチンに比べて免疫が出やすいのですが、ワクチンのウイルスが人から人へ遺伝することで、ポリオが野生化し、発病することがあります。これに対し、不活化ワクチンは効果の点では生ワクチンに劣るのですが、ワクチン由来のポリオが発生する危険はありません。従って今後、日本でも欧米先進国のように不活化ワクチンの導入が検討されています。

2002年6月18日掲載

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