【質問】尿出にくく歩行に支障
80代男性です。糖尿病の治療を受け、血糖値は正常範囲を維持していますが、2年前から尿が出にくくなりました。手術をするのは早いと言われ、薬で治療していましたが、7月末、再び尿の出が悪くなったので受診したところ、膀(ぼう)胱(こう)が膨れて尿がたまっているとのことでした。薬を追加して尿を出すことになりましたが、今度は足全体が腫れてきました。1カ月たちましたが、腫れはひどくなり、歩行に支障が出てきました。泌尿器科の医師は、他に飲んでいる薬の副作用だと言うのですが心配です。どうすればいいでしょうか。
【答え】詳しい検査で原因究明を
住友医院 桜井紀嗣
ご質問に「膀胱が膨れて尿がたまっているので薬を追加して尿を出すことになったが、足が腫れてきた」とあります。「薬が追加されて尿の出具合は良くなったが、足が腫れてきた」ともとれますし「薬を追加して尿を出すことになったが、尿は出にくいままで足が腫れてきた」とも考えられます。この二つでは病状が異なり、治療もまったく違ったものになります。
それぞれに分けてお答えする前に、膀胱の基本的なお話をします。それは「膀胱は尿をためて、尿を身体の外に出すこと以外の働きはほとんどない」ということです。そのため膀胱の働きが悪くなっても、尿が身体の外に出さえすれば(管で尿を取っても、尿が漏れても、何度もトイレに行っても)、他の臓器に直接障ることはありません。
ただ、膀胱に尿がたまったまま膨れた状態が続くと、腎臓から膀胱への尿の流れが妨げられ、腎臓の働きが悪くなります。その結果、足がむくんだり、場合によっては腎不全(尿毒症)になったりすることがあります。
さて、ご質問が「尿の出は良くなったのに、足が腫れてきた」であった場合ですが、先にご説明の通り尿が出ているのに足がむくんでくることは膀胱や尿からは考えにくいことです。
そのため、足の腫れは排尿とは別の原因を考えるのが妥当で、もともと腎臓が悪かったり、心臓や足の血管やリンパ管の病気や低蛋(たん)白(ぱく)などが潜んでいないかを調べる必要があります。骨盤の中の悪性のものも否定できません。足が非常にむくんできているようですので、いろんな検査ができる病院の総合診療科または内科にかかられることをお勧めします。
次に、ご質問が「追加された薬が効果なく、尿が出にくいまま(膀胱に尿がたまったまま)足が腫れてきた」であった場合です。これは先のご説明の通り、膀胱に尿がたまり過ぎて腎臓の働きが悪くなり、足がむくんできたものです。
泌尿器科で超音波(エコー)検査をしてもらえばすぐに分かりますので、早めに泌尿器科で検査を受けてください。膀胱の中の尿を管で出してもらうこと(導尿)が必要かもしれません。
ただ、かかられている泌尿器科の医師から薬の副作用と言われているようですので、ご心配でしたらセカンドオピニオン(他の医師の意見を聞く)を求められてはいかがでしょうか。いずれにしても、かなり病状が進んでいることが考えられます。受診をお急ぎください。