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【質問】 肝機能障害を懸念

 30代の男性です。アルコール類を飲み過ぎた翌日は顔がパンパンにむくみ、特にまぶたはひどく腫れます。大病をしたことはありませんが、家系的には40代で亡くなった男性が多く、臓器はあまり強くないと聞いています。体質は遺伝していると思われ、将来、肝機能障害を発症しないか心配です。普段、酒は少量しか飲みませんが、止めた方がいいでしょうか。



【答え】 酒による顔のむくみ -腎臓病などの可能性も-

北川内科胃腸科 北川直之(徳島市住吉4丁目)

 アルコール類を飲み過ぎると血液中のアルコール濃度が高くなって血管が拡張し、静脈やリンパによる水分の処理が間に合わず、むくみが生じやすくなります。特に夜は、横になって寝ている間に顔の方に水分がたまるため、朝起きたときに顔やまぶたが腫れやすくなります。

 単にアルコールの飲み過ぎが原因であれば、お酒をほどほどに控えた上で、寝る前に水分を取り過ぎないようにして早く就寝し、翌日は早めに起きるようにしてください。また、頭を少し高くしてうつぶせ寝を避けるようにすれば、むくみは改善すると思われます。そのほか、塩分の取り過ぎや睡眠不足、運動不足、ストレス、栄養不足などを避けるようにしてください。

 しかし、質問によりますと、顔がパンパンにむくみ、まぶたの腫れの程度もかなりひどいようですので、むくみの原因が、単にアルコールの飲み過ぎということだけではなく、病気の可能性が考えられます。

 可能性が一番高いのが腎臓病です。顔のむくみは、水分の調節を行う腎臓の機能が低下したときによく見られる症状です。ネフローゼ症候群、急性腎炎、慢性腎炎、腎不全などが考えられます。

 そのほか、心臓病、肝臓病などでもむくみを生じます。普段はお酒を少量しか飲まないとのことですが、肝臓病の原因はアルコールだけではありません。B型肝炎やC型肝炎といったウイルス性肝炎などもあるので、お酒を飲まなくても肝臓が悪い場合もあります。

 また、今まで大病をされたことがないとのことですが、毎年、健康診断は受けているのでしょうか?もし毎年受けているのであれば、検診結果を持ってかかりつけの病院を受診し、ご相談ください。

 あまり診察や検査をされたことがない場合は、早急に病院を受診して検査を受けることが必要です。高血圧症や糖尿病、肝臓病、腎臓病などの病気があっても、自覚症状に乏しく、自分で気づかないうちに病気が進行している場合があります。

 家系的に40代の若年で亡くなられている人が多いとのことですが、病名や原因が書かれていないので、はっきりしたことは言えません。一般的には、脳出血、クモ膜下出血、脳梗塞などの「脳血管疾患」や、急性心筋梗塞、狭心症、不整脈、心筋疾患、弁膜症、心不全などの「心臓病」、そのほか、胃がん、大腸がんなどの「悪性腫瘍」などが病名として考えられます。

 その原因として遺伝的なものや家系的なものもありますが、肥満(食べ過ぎ・飲み過ぎ・運動不足)や糖尿病、高血圧症、高脂血症といった生活習慣病や喫煙、ストレスなどが関係する場合もあります。

 体質や遺伝は避けることが不可能ですが、その場合は定期的な検診による早期発見や治療によって、また生活習慣病、喫煙、ストレス、飲酒などが関係している場合は、生活習慣の改善によって対応することが可能です。検査結果や病状に基づいて対処してください。

徳島新聞2012年8月26日号より転載

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