目まいに悩んでいます
【質問】85歳の女性です。今年1月から目まいに悩んでいます。耳の異常と思い、耳鼻科で治療を受けたものの良くなりません。別の耳鼻科では耳に異常がなく、「起立性低血圧」との診断でした。その後も目まいと頭痛、息苦しさ、胃痛の症状を繰り返しています。入院して検査した結果、「自律神経失調症」との診断で生活指導を受けました。退院後2カ月経過した現在も同様の症状に苦しんでいます。対処法を教えてください。
今井メンタルクリニック 井上麻由 先生
日常生活の見直しを
【答え】皆さんは自律神経失調症にどんなイメージを持っているでしょうか。「ストレスと関係がある」「やっかいな病気」というところでしょうか。
まず自律神経を解説します。自律神経は本人の意志とは無関係に、臓器や器官を自動的に微調整する機能があります。
例えば、食べ物が口から入って胃や腸が動き出す。緊張や運動で鼓動が速くなる。寒い時に鳥肌が立つ。暑いと汗を出す。これらは全て自律神経の働きです。
自律神経には交感神経と副交感神経があります。交感神経は分かりやすく表現すると「活動する神経」です。仕事や運動時に心拍数や血圧を高め、精神活動も活発にします。
一方、副交感神経は「休む神経」。肝臓や消化管を動かして栄養を蓄え、睡眠や休息を取る時に働いてエネルギーを回復させる神経です。
この二つの神経は、体のアクセル役、ブレーキ役として反対の作用を持ち、次々と変化する体内や外部からの刺激に反応して自動的に切り替わり、臓器や器官の働きを調整しています。
アクセルとブレーキがうまく連携できなくなった状態が自律神経失調症です。
頭痛や目まい、耳鳴り、食欲不振、肩こり、下痢や便秘、呼吸苦、倦怠感、不眠など、さまざまな症状がみられます。不安を感じるかもしれませんが、安心してください。日常生活を整えることで、症状は必ず改善します。
規則正しい生活ができているか、今一度見直してみてください。表<1>~<5>の後ですっきりするようだったら、それを毎日の生活として習慣付けましょう。
もう一つ大事なポイントがあります。症状に思い悩まず、気分転換をしてみることです。
澄んだ秋の日に、赤い口紅とおしゃれなスカーフで出掛けませんか。体を動かし、おいしい食事を楽しんだ後は、ゆっくり入浴して温まり、ぐっすり眠る。そんな日々を重ねるうちに、自律神経は必ずバランスを取り戻します。ぜひ試してみてください。元気になりますように。