頭部にかゆみやできもの
【質問】85歳男性です。3年前から頭部にかゆみがあり、薬を塗っています。それでもなかなか良くならず困っています。半年前からは耳の下や首から顔にかけてぶつぶつしたできものができてかゆいです。何が原因でしょうか。何かいい治療法はないですか。5年前から降圧剤を服用しています。高血圧の他に持病はありません。
宇都宮皮膚泌尿器科 宇都宮正裕 先生
ステロイドの塗り薬有効
【答え】頭皮にかゆみがあり、なかなか治らないということなので、次のような病気が考えられます。
まず脂漏性皮膚炎です。頭皮、眉間、鼻の周囲、胸など皮脂が多い部位にふけを伴った赤みが出ます。
尋常性乾癬(かんせん)は頭皮、肘、ひざ、尻などに厚く白いかさぶたができます。そして、境界がはっきりして少し盛り上がった赤みを生じます。
この他、白髪染めやヘアケア製品などにかぶれて引き起こされる接触皮膚炎や、白癬(はくせん)(水虫)菌の感染による頭部白癬も考えられます。
赤みが軽くて脱毛がなく、白髪染めによるかぶれなどの原因が見当たらない場合は、脂漏性皮膚炎の可能性が高いです。
脂漏性皮膚炎は皮脂中のトリグリセリドが皮膚の細菌によって分解され、その代謝産物が皮膚に刺激を加えることが原因とされます。そして、その症状を悪化させるカビとしてマラセチアが注目されています。マラセチアは脂腺から分泌される皮脂を栄養源としているため、皮脂の量が多くなると、マラセチアも増殖します。
まずは洗髪を毎日行い、頭皮を清潔に保ち、生活リズムを整えましょう。
治療は炎症を抑えるステロイドの塗り薬が有効です。症状を悪化させるのがカビなので、カビに効く塗り薬の抗真菌剤、市販の抗真菌剤入りシャンプーが効く例もあります。
耳の下の首から顔にかけてのぶつぶつした、とてもかゆいできものは、ビダール苔癬(たいせん)と思われます。
ビダール苔癬は、首や脇などに出るかゆみの強いぶつぶつした発疹で、慢性の皮膚炎です。衣服の摩擦によって生じやすいので、こうした刺激を避けるようにしてください。治療にはステロイドの塗り薬が有効です。
降圧剤の服用は関係ないと思います。降圧剤により紫外線に過敏になることがあります。その場合は、紫外線が当たる顔面や首、前腕を中心にかゆい赤みが出るので違うようです。