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【質問】 下肢が気になり眠れない

 60代の女性です。半年前から、夜間、布団に入ってうとうとすると、下肢がむずむずして眠れなくなります。内科や整形外科を受診しましたが、異常はありません。最近雑誌で「むずむず脚症候群」という病気を知りました。これはどんな病気なのでしょうか。この病気の原因や診察・治療法についても教えてください。



【答え】 むずむず脚症候群 -マッサージや温浴治療を-

クリニック釈羅 中西昭憲(板野郡松茂町広島)

 「足がむずむずする」という症状の患者が来院すると、まず奇妙な体感異常・体感幻覚を主症状とした精神異常を疑います。座ったままでじっとしていられず奇妙な動作や足踏みをみせる「アカシジア」や、何らかの抗精神薬の副作用の可能性もあります。

 また、身体的原因が見当たらないのに症状を執ように訴える「身体的表現性障害」も疑われます。睡眠障害がある場合は、うつ病・うつ状態やストレス不安状態といった疾患のチェックをします。

 ストレスの有無、常用薬、生活歴、病状歴などを調べた上で「横になったり、じっとしていたりすると、虫がはっているようにむずむずする」「針で刺されるような、火照るような嫌な感じや身体症状が主に下肢に起こる」「そのために絶えず足を動かしてしまい眠れなくなる」という症状のみが見えてくると「むずむず脚症候群」として治療を始めます。

 この症候群は、1997年に米国から日本睡眠学会に調査依頼された新しい疾患概念で「レストレスレッグス症候群」(身体末端の不快感や痛みによって特徴づけられた慢性的な病態)として分類されています。原因はまだ不明ですが、神経伝達物質のドーパミンの機能低下、脳内の鉄分の不足、脊髄(せきずい)や末端神経の異常、遺伝的要素などが考えられています。

 この病気は、人口の2~3%の人がかかり、40代以上に多く見られます。精神的なストレスは症状の強弱と関連しますので、上手な気分転換が必要です。治療法としては、薬物療法として「L-DOPA製剤」「抗けいれん剤」などに効果が見られています。また血清鉄が不足している人は、鉄剤も効果があるとされています。

 気をつけなければならないのは、眠れないからと睡眠導入剤や抗うつ剤を服用することです。むずむず感が残ったまま眠気だけ強くなり、逆に症状が増強され、結果として、うつ病・うつ状態を併発してしまうことになります。それを防ぐためにも、専門家の治療が求められます。カフェイン・アルコール飲料も、睡眠が浅くなるので注意してください。

 日常生活では、足のマッサージや温浴治療法を取り入れてみましょう。足の筋肉を強化し、血行を促進することで、症状が軽減することもあります。また、鍼灸(しんきゅう)や整体も、血流の改善や筋肉ホルモンの正常分泌をもたらすことがあります。専門の療法士に相談してください。

 日々できること、専門家にやってもらうことを上手に組み合わせ、症状の軽減を図ることで、日常生活が楽に送れるようになります。ぜひ試してみてください。

徳島新聞2009年3月1日号より転載

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