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【質問】 足の親指つけ根が痛い

 50代後半の女性です。長年、外反母趾(がいはんぼし)に悩まされています。親指のつけ根のこぶが大きく飛び出し、親指も大きく外側にそっています。足のうおのめも大きく、痛くてたまりません。手術した方がよいのでしょうか。とにかく歩くのが痛いです。



【答え】 外反母趾 -変形強ければ手術も-

谷医院 院長 谷 義彦(小松島市立江町江の上)

 外反母趾は足に最もよくみられる変形の一つです。通常両足にできますが、必ずしも左右対称ではありません。女性に多く、通常14~16歳ごろに発症します。ただ、40歳以前に不自由と感じる人はまれなようです。

 発生誘因の一つに先天性の要因があります。その要因は、足の幅が広い、親指(母趾)の手前の骨(中足骨)が内側に広がっている、親指が長い、中足骨の関節面が球状でもともと関節が外側に寄っている-などです。

 また、筋肉(特に母趾外転筋)の過度の収縮や緩み、さらに靭帯(じんたい)の緩みによっても起こります。これらは肥満やリウマチ性炎症で悪化します。靴による圧迫は、女性の外反母趾の第一の原因となっています。

 以上の一つでも該当すれば外反母趾の原因となりますが、いくつかが組み合わさって起こることが多いようです。いずれの場合にも、母趾の安定性を確保している筋肉や腱(けん)、靭帯のバランスが一度崩れてしまうと、母趾の曲げ伸ばしをしたり外側に広げたりする筋肉の作用によって、母趾の外側方向への変形が進みます。

 前足部の骨の平行は崩れ、体重による荷重によって第一中足骨が広がり、母趾は爪(つめ)が内側を向くようにねじれるようになります。爪が足の人さし指を圧迫し、人さし指の上方、または下方に重なるようになります。

 母趾の第二関節は、内側に突出してますます圧力がかかり、骨も出てきます。その上に水がたまる袋(滑液嚢腫(かつえきのうしゅ))ができ、うおのめが足の背部や底、指の間に生ずることになります。

 痛みは<1>履き物によって母趾第二関節の内側にできる摩擦性病変(滑液嚢腫、うおのめ)<2>母趾第二関節周囲の炎症<3>母趾第二関節の変形による関節痛-が原因です。ただ、外反母趾の症状は、年齢によって異なります。若い女性の変形の程度は軽く、小さくて先の狭い靴が原因で激痛を生ずる急性炎症によるものが多くを占めます。一方、50代の女性の場合は母趾の変形がひどく、滑液嚢腫の炎症が症状を悪くしていることが多いようです。

 継続的な治療には母趾の運動療法、前部にゆとりのある靴の作成、防御用パッドの使用のほか、足底板で横軸にアーチをつくって各中足骨を近づける方法があります。

 日本人では手術を必要とする外反母趾は少ないのですが、痛みや変形が強い場合は、第一中足骨の骨切術に第二関節の形成術を加える手術を行っています。整形外科医に相談してみてください。

徳島新聞2007年9月9日号より転載

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