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【質問】 薬と注射 効能の違いは?

 26歳の女性です。今年は昨年に比べてスギ花粉の飛散量が少ないというニュースを見ました。毎年、花粉症で悩んでいるのですが、薬で症状が軽く抑えられることを知りました。以前、注射をすればいいと友達に聞いたのですが、どのような違いがあって、どちらがよく効きますか。副作用などの心配はないのでしょうか。また、いつから治療を始めたらいいのか、治療費に違いがあるのか、詳しく教えてください。



【答え】 花粉症 -症状・体質で治療法違う-

高石司耳鼻咽喉科 高石 司(徳島市城東町1丁目)

 花粉症の治療法にはさまざまなものがあり、治療についてはガイドラインが作られています。2005年の鼻アレルギー診療ガイドラインを基に説明します。

 治療法は、薬を飲んだり鼻に薬を入れたりする薬物療法、スギ花粉に接触しても症状が出ないような体質にする特異的免疫療法、それと手術による方法があります。

 まず、薬物療法についてです。花粉症は症状の出方によって、くしゃみ・鼻水が多いタイプと鼻詰まりが主なタイプとに分けられます。花粉症の治療薬は働き方によって4~5種類に分類され、特にくしゃみ・鼻水に効果が期待できるもの、鼻詰まりに効果が期待できるものなどまちまちです。また、症状の重い人と軽い人とで使い分けが必要です。

 質問にある「症状を軽く抑える方法」とは、ガイドラインでは初期療法という部分です。花粉の飛散開始とともに、または症状が少しでも現れた時点で薬物療法を開始します。予想される花粉の飛散量と、例年最も症状が強い時期の症状の出方や重症度を考えて、どれか一つの薬を選びます。

 花粉飛散量の増加とともに症状が重くなった場合には、ガイドラインに従って治療内容を変更していきます。

 特異的免疫療法は減感作療法ともいわれている治療法です。花粉症に対する唯一の原因療法です。スギ花粉を含んだ医療用の注射液を少量から少しずつ濃度を上げて体内に注射していき、体質を変えていく方法です。最初は毎週1回ずつ注射し、六カ月たったころから1カ月に1回、3年ほど継続する必要があります。

 これに代わる方法として最近注目されている方法が、舌下(ぜっか)免疫療法です。舌の下に置いたパンくずにスギ花粉の液を含ませ、スギ花粉症を治療する方法ですが、現在はまだ研究段階です。注射による方法と同じで長い時間がかかりますが、注射のたびに病院に通う必要がなく、非常に便利な方法として期待されています。

 ところで、注射を一度だけ打って花粉症を治療しようとする方法は、ステロイドの注射と考えられます。この方法は、時に副作用(顔が丸くなったり、生理が止まったり)が起こり、好ましい方法とは考えられません。特に女性には問題があります。ガイドラインでも望ましくない方法とされています。

 以上のように、花粉症の治療は誰でも同じというわけにはいきません。例えば、治療薬としての抗ヒスタミン薬は副作用として眠気が出るものもあります。これも人それぞれ程度に違いがあります。従って、治療費も比較することは難しいと思います。医師と相談の上、あなたに合った適切な治療法を選択してください。

徳島新聞2007年2月11日号より転載

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