徳島県医師会 トップページへ

  • 文字サイズ標準
  • 文字サイズ拡大
文字サイズ変更について
県民の皆さまへ

【質問】 手首に激痛と腫れ

 77歳の女性です。4月中旬ごろに左手首に激痛と腫れが出て、医者からはリウマチと判断されました。しかし、「薬は副作用がひどいので、今は飲まずに辛抱するように」と言われ、湿布と痛み止めの座薬でどうにか辛抱しています。痛い手首はマッサージもだめで、湿布で冷やすだけでいいとのことでしたが、毎日不安と痛さでノイローゼ気味です。少しずつ、右手首にも痛みがでています。いい治療法はありませんか、教えてください。



【答え】 関節リウマチ -抗リウマチ薬で治療-

岩佐整形外科 岩佐 賢一(徳島市南矢三町1丁目)

 質問から、痛みと不安で大変困っている様子が、よく分かります。最近発症した活動性の関節リウマチ(今年の日本リウマチ学会で慢性関節リウマチを「関節リウマチ」とすることに決まりました)と思われますが、最初にきちんと診断を受けることがまず大事だと思います。

 関節リウマチの発症原因については、まだ根本的な究明には至っていませんが、その根底には免疫の異常があると考えられています。30~50代の女性に多く、この女性のように、最近は比較的高齢になってから症状が出てくる人も増えてきました。全国で約70万人もの患者さんがいます。

 朝なんとなく手の指などが動かしにくい、手の指、手首などの小さな関節が腫れたり、痛んだりして、受診する方が多いようです。この女性が、右手首も痛みが出てきたというようにほとんどの場合、左右対称に起こります。また、微熱が出て、この病気に気が付く人もいます。

 関節リウマチの治療の目的は、まず痛みをやわらげること、関節の変形を防ぐこと、関節の機能を保つことです。そのために、最近はなるべく早く抗リウマチ薬を使って、リウマチの攻撃を止めるということになっています。抗リウマチ薬で多くの方が寛解(かんかい)(臨床的に、ほとんど病気が活動していない状態のこと)へと導入できるようになってきています。この女性も、原則的には、今使っている抗炎症薬だけでなく、何か一つ自分に合った抗リウマチ薬を、処方してもらえばと思います。

 しかし、どの薬もそうですが、抗リウマチ薬にも副作用があります。どれを選択するかを決める前に、きちんと血液検査などで、肝臓、腎臓などのチェックを受けることが大切です。このチェックで、この女性には何らかの合併症が存在し、担当の先生が今は処方を見合わせているのかもしれません。

 次に抗リウマチ薬を飲み始めたら、1カ月に一度は血液検査や尿の検査などを行い、チェックすることが必要になります。抗リウマチ薬は効果が現れるのに2~3カ月かかるものが多く、それまでは、きちんと痛みが取れる抗炎症薬を併用することが必要です。最近では、新しい良い薬の研究や治験が行われており、明るい希望が持てます。

 関節リウマチの方のリハビリは、一言で言えば「省エネルギーで」ということです。どの関節も1日のうちに何回かゆっくり大きく動かしてください。ただ、この女性のように腫れたり痛みが強く著明な炎症があるときは、その関節は安静にして保護することが大切です。

 関節リウマチと診断されて不安になったり、くよくよせずに、病気がどういうものか正しく理解し、明るく前向きな気持ちで過ごすことが大事です。そのためには、日本リウマチ学会やリウマチ友の会など関係の団体を利用するのも良いと思います。「リウマチ友の会」は、全国に支部があり、患者さんたちがともに励まし合い、助け合って、より質の高い日常生活を過ごせるよう努力しています。

 最終的には、関節リウマチと闘うのではなく、むしろリウマチと一緒に生きると考えた方が気持ちが楽になると思います。最後に、私の大好きなゲーテの言葉「いきいきと生きよ」を贈らせていただきます。

 なお、日本リウマチ学会の連絡先は〈電03(3946)5661〉、リウマチ友の会徳島支部(新田映子さん)は〈電088(655)2439〉です。

徳島新聞2002年8月4日号より転載

© TOKUSHIMA MEDICAL ASSOCIATION.