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【質問】 脚の感覚なく突っ張り棒のよう

 20代後半の主婦です。ひどいむくみで悩んでいます。むくみ出すと日増しにひどくなり、下腹がぷくっと出て、脚は自分の脚という感覚でなく、突っ張り棒をしているようです。すごく体がだるくなり、何日も続きます。尿量もかなり少なくなります。私は頑固な便秘症のうえに低血圧、血行も悪く強度の冷え性で、手足は1日中冷たいままです。また、現在ホルモンのバランスが崩れていて、1年ほど生理も止まったままです。このようなことも、むくみに関係しているのでしょうか。どう自己管理すればいいのか、またどんな専門科にかかればいいのでしょうか。



【答え】 むくみ -減塩食心がけ適度に運動を-

三谷内科 院長 三谷 裕昭(阿南市富岡町東仲町)

 むくみ(浮腫)とは、何らかの原因で血液中や細胞の中の水分が血管外、細胞外ににじみ出ることなどによって、皮下組織に水分が過剰にたまった状態をいいます。この水分(細胞外液)が、体全体で1~2リットル以上増加して初めてむくみと呼んでいます。

 原因は、循環器疾患によるものと、非循環器疾患によるものとに大きく分けられます。循環器系では、心不全を原因とする全身性のものと、静脈やリンパ浮腫に代表される局所性のものがあります。

 一方、非循環器系のむくみも、全身性と局所性に分けられます。

 ご質問内容から、あなたのむくみは非循環器系で、全身性のものと考えられます。全身性のむくみは、腎臓や肝臓、内分泌系、栄養に問題があって起こる場合や、薬物が原因となる場合が多いようです。あるいは突発的に起こる特発性むくみもあります。むくみは体重の増加が目安となり、そのままにしておくと進行します。

 まず、むくみの原因となっている病気を確かめます。一般的にタンパク尿が陰性で、尿量が減っている場合は、腎臓以外の病気が多いようです。また、全身性のむくみを訴える若い女性で、便秘、低血圧、生理不順などの症状がある場合は、自律神経による内分泌性か特発性のむくみが疑われます。後者の場合、一日のうちでも体重の増減が認められます。

 さらに下垂体、甲状腺、副腎系のホルモン失調が否定できず、特に女性では月経前浮腫や更年期浮腫があります。

 一部の特発性むくみの中に、運動不足や筋肉量の低下なども原因として含まれています。従って、あなたも一度内科医に相談し、精密検査を受けられてはいかがでしょうか。

 検尿と胸のエックス線検査によって、心不全や腎不全といった病気の有無を確かめます。また、血液検査で低タンパク血症(血中のタンパク質濃度が低い状態)の有無を調べます。さらに電解質のアンバランスやホルモン学的検査も必要となります。これらで異常がなければ、特発性浮腫となります。

 あなたの症状からは、内分泌性か特発性の浮腫が考えられますので、近くの内科の先生に前述の検査をしていただければ、原因と治療方針がある程度分かると思います。治療は原因となる病気を治すことが第一です。

 このほか、長時間のバスや飛行機旅行で、下腿に局所性のむくみを生じることもありますが、これらには脚の上げ下げや運動が有効です。

 最後に自己管理について述べておきます。日ごろから減塩食を心がけ、緑黄色野菜を多く摂取して便通をよくし、低血圧と循環改善のために適度に運動することが必要です。

 緑茶やコーヒーは利尿作用があり、体内の水分を排出するのに有効です。加齢とともに、むくみを起こすさまざまな症状が血栓症の原因となる可能性もあるため、注意が必要だと思います。

徳島新聞2002年3月3日号より転載

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