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【質問】 無気力などで悩んでいる

 女子高校生です。昨年の夏休み前に大好きな部活をやめました。その直後から起き上がるのもつらいほど体がだるくなり、無気力、脱力感に悩んでいます。また、無感情な時期と神経質な時期が交互にやってきます。無気力から解放されるのではと、新しい部活に入りましたがつらいだけです。でも周りには元気に見せようと、学校も部活も休まず、明るく振る舞っています。勉強にも全く集中できません。自分ではうつ病でないかと思います。親に知られるのがいやで病院にもいかず、先生や友達にも相談できません。



【答え】 うつ病 -自分のリズムを-

宮内クリニック 宮内 和瑞子(徳島市名東町2丁目)

 大好きな部活をやめた直後から、心身の不調が生じたのですね。別の部活に入ったとあるので、何か対人関係面での理由か、前の部活が好きだったけれど負担があったのか、さぞつらくて困難な選択だったでしょう。心の中はつらいのに、周囲には元気を装う。これは非常な努力を要し、つらさや心の疲労を倍増させ、余計に気持ちを追い込んでしまうことがあるようです。

 一般に、悩みが深刻になるほど、打ち明けるのをためらいます。深刻なゆえ、余計に周りに心配をかけたくないと思い、親や先生、友達に相談できないのかもしれません。しかし無理して明るく見せようとしないで、また一人で悩み苦しまないで、大変でしょうが、ぜひ周りの人に相談してほしいと思います。

 一般的に、高校には教育相談課というのがあって、そこに属する先生が生徒の悩みや相談に応じてくれます。また、精神保健の知識のある養護の先生に相談してもよいでしょう。どちらの先生も必要であれば校外の相談機関や病院、診療所を紹介してくれます。どうしても周囲の人に知られるのがいやなら、電話相談(精神保健福祉センター、教育研修センター、医師会その他)という方法もあります。

 さて、お尋ねの「うつ病」についてです。一度でもうつ病になった経験がある生涯有病率は15%(女性では25%)という、ありふれた病気です。治療を受けている人もたくさんいます。大人に一般的な病気ですが、20歳以下の青年期や児童にも起こります。

 症状は、抑うつ気分や、興味、喜びの喪失とともに、ほとんどの人に気力の減退が起こってきます。学業、職務に支障が出て、新たな行動を起こそうとしなくなります。また、八割程度の人に朝早く、また中途で目覚めるなど睡眠障害が起こり、この目覚めたときに自分の抱えている問題について思い巡らし、自分を責めたり否定的な考えを抱くようになったりします。また多くの人に食欲低下や便秘、口の渇き、体がだるくて疲れやすいなどの身体症状が出てきます。

 うつ病は、心身の疲労やストレスによって、脳内に持続的な変化が生じ、脳内の神経伝達物質の働きや神経細胞内のシグナルに支障がでてくるために起こると考えられています。

 大人なら転勤や引っ越し、家の新築、病気やけがによる入院で生活のリズムが狂う、悲しい出来事に遭う、愛する人を失う、子供が巣立つ、出産、大仕事の後で目標を失う…などがうつ病の引き金になります。あなたがうつ病かどうかは、文面だけでは判断できません。ただ、大好きな部活をやめたことが誘引となり、生活に変化が生じ、喪失体験となって心身のバランスを崩した可能性は考えられます。

 不眠や疲労感など、身体症状が強い場合は、医療機関を受診した方がよいと思います。一方で対人関係の問題などで大好きな部活をやめたという心理的葛藤(かっとう)が強い場合は、だれかに話を聞いてもらった方がよいでしょう。

 うつ病の場合、最近は即効性があり、副作用の少ない抗うつ薬があります。治療は薬物療法が第一です。第二に精神療法としては認知療法が一般的です。うつ病には、かかりやすい性格があります。まじめできちょうめん、何事も完ぺきを目指す人、自己否定的な見方や悲観的な見方をする人、他人に対して過敏または依存的な人です。認知療法は、完全主義的な見方、自己否定的なものの見方、他人への過敏さを修正していくものです。また、気持ちの苦しさはうつ病からきているもので必ず治るという簡単な精神療法も有効です。

 しかし、前述したように心理的葛藤が強いのなら、もう少しじっくりと時間をかけるカウンセリングが必要かもしれません。

 自分をよく理解し、あまり完全を求め過ぎず、自分なりのリラックス法や気分転換法を持ち、7~8分のゆとりのある生活を心がけること。他人をあまり気にせず、適度な生活リズムを大切にしていくことです。

徳島新聞2001年12月2日号より転載

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