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【質問】 腰が痛くて歩けない

 85歳の女性です。昨年10月から腰が痛くて起きられないのです。外科でレントゲン撮影をしたところ、背骨(脊骨=せぼね)を痛めているといわれ注射をして薬をもらいました。でも、あまり良くなりません。その後の11月のある日、ひどく腰が痛くなり、つえにすがって一足ごとにしか歩けなくなりました。今もその通りです。子どもたちは、入院したら少しは楽になるだろうというのですが、私はにわかに良くなるとは思えません。手術をすれば、少しは歩けるようになるのでしょうか。治療法を教えてください。



【答え】 腰椎椎管狭窄症 -検査受けゆっくり治療-

新野医院院長 新野 徳(板野郡板野町下庄)

 昨年10月から腰痛と歩行障害がみられるということですが、骨粗しょう症による腰椎(ようつい)の変形、圧迫骨折などによる「腰椎椎管狭窄(きょうさく)症」という病気が考えられます。専門的な病名でよく分からないと思いますので、まず病気について説明し、次に治療法を述べたいと思います。


 骨粗しょう症は、閉経後の更年期を過ぎた女性に多く、骨の中のカルシウムが減少することによって全身の骨がもろくなる病気です。この病気になると、小さい外傷でも骨折や変形が起こり、脊椎(せきつい)では、神経の出口のところが圧迫され、神経痛が起こります。

 腰椎では、両足の坐(ざ)骨神経が障害を受け、しびれや歩行が不自由になります。レントゲン検査で脊骨を痛めていると言われたことからみて、腰椎の圧迫骨折があると考えられます。

 腰椎の神経が通っている管がさまざまな原因で狭くなり、足の神経障害のため歩行が不自由になる場合、腰椎椎管狭窄症という病名がつけられます。

 では、検査と治療法について説明します。

【検査】整形外科の病院で腰椎のレントゲン検査を受け、必要があれば、さらにCT、MRIの検査を受けてください。

【治療】高齢ですので、質問のような程度なら手術は考えず、次のような治療をゆっくりされたらよいと思います。

 1.内服=消炎鎮痛剤が効果的ですが、胃腸障害を起こすことがあります。カルシウム剤や骨粗しょう症に効く薬、ビタミン剤なども有効です。胃薬と併用して服用できれば飲んでください。

 2.湿布=冷湿布、温湿布のどちらでも自分に合ったものを、痛いところに使用してください。

 3.坐薬=寝る前に消炎鎮痛剤の坐薬を1個、肛門から入れてください。

 4.注射=「ブロック」といって、腰の痛いところに局所麻酔剤を注射します。骨粗しょう症にも効く注射があります。

 5.コルセット=柔らかいコルセットで腰を固定するだけで、痛みをやわらげるのに有効です。

 6.理学療法=電気治療を腰や足の痛いところに行い、歩行器や平行棒による歩行訓練をして、筋力の保持に努めます。

 以上のような治療法がありますが、腰痛がひどいようならしばらくの間入院され、軽く腰を引っ張ったり、その他の治療も併せて受ければいいと思います。

 症状が軽くなり通院できるようになれば、引き続きゆっくりリハビリを受けてください。痛いからといって寝てばかりいると、腰や足の筋力くが低下してますます悪くなるので注意してください。

徳島新聞1999年3月14日号より転載

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