徳島県医師会 トップページへ

  • 文字サイズ標準
  • 文字サイズ拡大
文字サイズ変更について
県民の皆さまへ

 RSウイルスはかぜ症候群の代表的な原因で、2歳までにほとんどの子どもがかかると言われます。RSウイルスにかかった子どもの中から喘息の発病や喘鳴を繰り返す子どもが多く現れます。RSウイルスと喘鳴反復や喘息発症の間には大きな関係があるとされます。



 乳児期にRSウイルスにかかった場合に喘息が発生しやすいことは多くの報告があります。これはアトピー素因のある子どもがRSウイルスにかかることよって、隠れていた体質から喘息発病の引き金が引かれたためであると考えられます。しかしこれとは別にRSウイルスの感染が喘息などのアレルギー疾患発病のきっかけになることがある、との報告もあります。

 乳幼児期に喘鳴が多いのは呼吸器に解剖学的および生理学的な特徴があるからです。解剖学的には気道の直径が狭く、気管支平滑筋が少なく肺の弾性収縮力が低いこと、粘液分泌腺が多く気道内に分泌物が多いことが関係しています。生理学的には胸郭の柔軟性や胸郭横隔膜の呼吸運動が少ないことが挙げられます。

 また呼吸器系は生下時にも完成されたものではありません。肺胞や末梢気道は出生後にも変化を続けていますから、このような発達段階にある呼吸器が出生後にウイルス感染を受けて傷害されると正常な発達が中断され、呼吸器の障害が持続することになります。

 さらに免疫的な未熟性から感染を起こしやすく気道の炎症が持続、反復すると気道の障害も大きくなることが考えられます。これはアレルギー素因の無い子どもでも喘鳴の反復や喘息様の症状を引き起こす可能性があると考えられるのです。

徳島新聞2012年11月21日掲載

© TOKUSHIMA MEDICAL ASSOCIATION.