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徳島県小児科医会 日浦恭一

 ロタウイルスはノロウイルスと並んでウイルス性胃腸炎の原因ウイルスの代表です。この疾患は嘔吐や下痢などの消化器症状だけでなくけいれんや急性脳症などの神経症状が見られることがあります。



 神経症状の中で最も多いのはけいれん発作ですが、けいれん発作は発熱がない場合や消化器症状が比較的軽い場合にも見られます。嘔吐や下痢が軽く、電解質や血糖などの生化学的な異常もなく脱水症もない場合にもけいれんは発生しますからけいれんの発生機序は明らかではありません。

 胃腸炎関連けいれんは生後6か月から3歳くらいの乳幼児に多く見られ、季節的には冬から春に多く見られます。けいれん発生が多いのは胃腸炎発病後3日目頃です。

 けいれんは短期間に反復することが特徴で、ひとつのエピソード内に数回発生します。ただしけいれんが慢性的に持続することはなく神経学的な後遺症を残すことはありません。

 しかし時に脳炎や脳症が発生することがあります。一般に脳炎・脳症は重症の神経疾患で予後不良な疾患です。急性脳症の中で最も多いのはインフルエンザによるもので約半数を占めています。次に多いのが突発性発疹で3番目に多いものがロタウィルスであると言われます。脳炎・脳症を起こした場合には生命予後が悪く、生存した場合でも神経学的な後遺症を残すことがあります。

 ロタウイルス感染症は誰でもかかる可能性のある疾患ですがワクチンで予防することが出来るようになったのです。

徳島新聞2012年1月18日掲載

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