徳島県小児科医会 日浦恭一
ロタウイルスのワクチンが昨年11月に発売されました。すでに接種した人も居るかも知れません。ロタウイルスワクチンは接種時期が生後6週から24週までと厳密に限られています。これを過ぎると副反応が強くなる可能性があるからです。このワクチンを接種するには赤ちゃんが生まれたら早い時期に準備をしておく必要があります。
今月はロタウイルス感染症とロタウイルスワクチンについて考えてみました。
冬になるとウイルス性胃腸炎が多くなります。中でも多いのがロタウイルスによるものです。ロタウイルスは消化管に感染して嘔吐や下痢を起こしますが、けいれん発作や急性脳症の原因になることあり、乳幼児には重要なウイルスです。
乳幼児のウィルス性胃腸炎の原因ウイルスにはロタウイルスの他にノロウイルスやアデノウイルスがあります。この中でロタウィルスが半数以上を占めるとされます。
ロタウイルス感染症は乳幼児に多く、病初期には嘔吐や発熱が見られ、その後に下痢が現れます。嘔吐は平均2日間、下痢は平均5日間続くと言われます。下痢は多くが水様性で白色ないしクリーム色で酸臭を伴うことが特徴です。
乳幼児では激しい嘔吐や下痢に伴って重症の脱水症を起こす危険性があります。適切な水分や電解質の補給が大切です。重症の脱水症では生命に関わり、輸液管理や入院治療が必要になることもあります。本人にも家族にも大きな負担になりますから予防が大切です。
徳島新聞2012年1月11日掲載