徳島県小児科医会 日浦恭一
最近、朝ごはんを食べずに登校する子どもが増えていると言われます。朝ごはんは昼間の活動を支えるエネルギー源です。今月は朝ごはんの大切さについて考えてみました。
2008年度、文部科学省が全国学力調査に併せて行った小・中学生の摂食状況の調査では、小学6年生の13%、中学3年生の19%が「朝食を食べない」、あるいは「食べないことが多い」と答えています。この結果から小学高学年では10人に1人が、中学生では5人に1人が朝食を食べないか、食べないことが多いことが分かりました。
朝食を食べないことと学業成績の不振の間に密接な関係があることが知られています。前に述べた学力調査の結果でも、いつも朝食を食べる子どもに比べて、いつも朝食を食べない子どもの正答率が低く、特に応用問題の正答率が低いことが示されています。さらに朝食を食べないことは運動能力にも影響すると考えられています。
学力や運動能力の差は、朝ごはんから適切な栄養、特に必要なエネルギーを補給しているかどうかの差に関係しています。いくら優秀な子どもでもエネルギーなしに能力を発揮することはできません。
朝ごはんを食べない理由では「食欲がない」、「食べる時間がない」が最も多く、その背景には子どもたちの間に夜型の生活習慣が定着していることがうかがわれます。朝ごはんの問題は子どもだけの問題ではなく、家族や社会全体の問題であると考えられます。
徳島新聞2011年10月12日掲載