徳島県小児科医会 日浦恭一
髄膜炎の診断には髄液検査を行います。髄液中に炎症に伴う細胞の増加を認めれば、髄膜炎と診断されます。また、髄液の中から原因となる細菌が検出されると、細菌性(化膿性)髄膜炎と呼び、細菌が検出されない場合は無菌性髄膜炎といいます。
無菌性髄膜炎の原因で最も多いのがウイルス感染ですが、それ以外にワクチン接種や結核菌、梅毒、真菌、クラミジア、リケッチャ、マイコプラズマ、寄生虫など感染症、悪性腫瘍、白血病、膠原病(こうげんびょう)、川崎病なども原因になることが知られています。
ウイルス性髄膜炎の原因ウイルスには、エンテロウイルスやおたふくかぜがよく知られています。日本脳炎も原因の一つです。
ウイルス性髄膜炎は、初夏から夏季にかけて多く見られます。これは夏かぜの原因となるエンテロウイルスが増加することによります。さらに日本脳炎による無菌性髄膜炎も夏季に多くなります。おたふくかぜ髄膜炎は一年中、発生が見られます。
髄膜炎の代表的な症状は、髄膜刺激症状と呼ばれるもので、発熱、悪心・嘔吐、頭痛が特徴です。しかし、脳炎や脳症に見られる意識障害やけいれん、局所の神経症状は見られません。もし意識障害やけいれんがあった場合には、ウイルス性の脳炎やウイルス以外の原因による髄膜炎を疑う必要があります。
脳炎・脳症や化膿性髄膜炎を診療する機会は、それほどありませんが、無菌性髄膜炎を診ることは珍しくはありません。
徳島新聞2011年4月27日掲載