徳島県小児科医会 日浦恭一
RSウイルスは一般的なかぜの原因ウィルスで1歳までに半数以上が、2歳までにほぼ100%が感染を受けると言われます。RSウイルスにかかった乳児の30~40%が下気道炎を発病し、1~3%が重症化して入院が必要になると言われます。
上気道で感染したRSウイルスは気道分泌物に混じって下気道に侵入します。これによって細気管支に炎症がおよぶと、細気管支粘膜上皮が壊死を起こし、細気管支周囲組織に炎症細胞の浸潤が起こります。さらに粘膜下組織の浮腫や上皮組織の脱落、分泌物の増加が加わった結果、細気管支の内腔が閉鎖します。このために強い呼吸障害が発生するのです。
RSウイルで感染が生後1カ月未満の新生児に起こる時には無呼吸となることがあります。とくに早産未熟児の場合に危険性が高いとされます。細気管支炎にともなう呼吸障害にともなう無呼吸だけでなく、感染初期の上気道の症状だけの時にも無呼吸が見られることがあります。このような場合には突然死の原因になることもあるとされます。
RSウイルスの感染は接触または飛沫感染です。鼻水など気道の分泌物に含まれるウイルスが咳とともに周囲に飛散します。さらに手指や衣服に付着したウイルスは子どもの鼻やのどから侵入することで感染します。患者さんと接触した家族や保育者、医療従事者などはマスクの着用、手洗い、手指の消毒などの十分注意することが大切です。
徳島新聞2011年1月19日掲載