徳島県小児科医会 日浦恭一
RSウイルスという言葉をよく耳にするようになりました。RSウイルスはかぜの原因ウイルスで、ほとんどの子どもが2歳までにかかると言われます。RSウイルスは母体からの免疫では防ぐことが出来ず、乳児期早期にもかかることがあります。RSウイルスはかかっても免疫が出来にくく、何度もかかることがあります。
乳児期早期にかかった場合や心疾患などの基礎疾患を持つ子どもがかかると大変重症になることがあります。RSウイルスにかかった後に喘息様の症状を繰り返すことがあります。
今月は小児にとって重要なRSウイルスについて考えてみました。
RSウイルスは感冒の原因ウイルスとしてそれ程珍しいものではありません。乳児の咳や鼻水を見た時にはRSを考えておく必要があると言われます。RSウイルスが侵入して4~5日の潜伏期間を過ぎると、咳や鼻水などの感冒症状が表れます。のどや鼻などの上気道にウィルスが留まっているだけでは重症化することはありません。
ウイルスが気管、気管支を経て下気道に侵入すると気管支炎や細気管支炎、肺炎などを起こして重症の呼吸器感染症となります。とくに細気管支の粘膜の病変が進行すると重い症状があらわれます。細気管支は肺胞と気管支をつなぐ経路ですからここが侵されるとガス交換ができなくなり呼吸障害が起こります。
RSウィルスは決して珍しい疾患ではありませんが、時に重症化する場合があります。
徳島新聞2011年1月12日掲載